第1話 失恋
「俺、凛花に告白して付き合うことになったから」
なんてことない日常を過ごした高校1年生の夏前、俺は親友でもあり幼馴染でもある如月颯斗に大事な話があると放課後に呼ばれ、あまりに信じ難い…いや、信じたくない報告をされた。
「お前とは親友だし隠し事はしたくない、それにお前、凛花のことが好きだっただろ」
そう、俺はもう1人の幼馴染である水樹凛花のことが昔から好きだ。きっかけなんてもう覚えていない。最古の記憶にはもうそばに凛花がいてその時にはもう恋をしていた。そこから小学生になると颯斗も遊びに加わり小学校、中学校は仲良し3人組として行動し、3人同じ高校に進んでいた。だけど俺は本当は凛花の好きが俺に向いていないこともわかっていた。俺はいつも凛花を見ていたから凛花が颯斗ばかり見ていることにも颯斗を見る目が自分に接する時と違うことも気づいていた。
如月颯斗は親友という贔屓目を抜いたとしてもイケメンで運動神経も抜群に良く、成績だっていつも上位にいて、当然モテていた。凛花の気持ちが颯斗に惹かれているからこそテストでも運動でも負けたくなかった、負けたくなかったから必死に追いつけるように頑張った。頑張るたびに負け、心が折れそうになっても凛花はいつも俺のことを応援してくれていた。だからこそますます彼女に惹かれていった。
でも正直颯斗が凛花と付き合うことになるのは前から覚悟していたし、颯斗なら絶対に凛花を幸せにできるとわかっていたから嬉しい気持ちもある。自分に何でも勝っていて気心の知れた親友の颯斗であり、ずっと凛花の想い人だった人だ。彼女が幸せになってくれるのであればそれだけでも俺は嬉しい。だけど落ち込んでしまうのも現実で嬉しさと寂しさが入り混じった俺はその後なんて言ったかもどうやって家に帰ったかも覚えていない。
「…明日からどんな顔して2人に接すればいいんだよ…こんなことなら明日、学校休もうかな…」
2人は俺の遠くに行ってしまった。ずっと一緒に過ごしていた2人はもうカレカノとなり、自分は2人きりの時間を邪魔する存在でしかない。
もちろん友達が彼らしかいないわけではないから一人ぼっちになることはない。だが、ずっと、本当にずっと一緒にいたのだ。自分の半身が手の届かない場所に行ってしまい体が動かせないような、そんな気持ちになってしまう。
だがどんなに悩んでも、どんなに考えても残酷に時間は過ぎていってしまう。
自身の人生の2/3以上恋をし続けていた相手を忘れることなんてすぐにはきっとできない。忘れる必要もないが前に進むには1日2日では無理なこともわかっている。
横になり考えてるうちに自身の頬を伝う水滴を感じながら眠りに落ちてしまった。
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