Short Shorts

モリアミ

Fire Starter

 友達と花火をする時、いつも缶コーヒーを買う。皆は目の前で飛び交う火花にしか興味無いから、仕掛けるのはいつだって簡単。そっと後ろに近づき、空缶にロケット花火を放り込む。くぐもった音に気付いても、逃げる前には破裂する。気付かれたって構わない。慌てて逃げる様が好きだから。


ピッ、ピッ、何処からかこもった電子音がする。

「ねぇ、何か鳴ってない?」

スマホを確認してもアラームなんて鳴っていない。

「あそこのテーブルじゃない?」

カフェテリアには他に誰もいない。

「スマホ忘れてったのかな?」

2人がテーブルに近付く。


 テーブルの上には、誰かが置いていったコーヒーの空缶が1つだけ残っていた。

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