【改訂版】 幽霊が見えるからって慣れてるわけじゃない!!
武 頼庵(藤谷 K介)
プロローグ
全ての始まり
霊感があるって人前で自慢げに話す人がいますけど、あれってホントなのかな?
普通に生活するには、視えても得はないのに……いや得どころか良いことなど一つもないのに。
それに視えている人間は人前では本当のことを言わないと思う。
それはなぜか。
それまで友好的に築いてきた繋がりが終わりを告げ、告白した後に変な関係になりたくないし、気まずい空気にはしたくないから。
それが、それまでの生活や友達関係を特に守りたいと思っている人なら、なおさらその想いは強くなるだろう。
俺には……そ・ん・な・事・たぶんできないと思う。
それが良い事なのかどうなのか結構な頻度ひんどで考えるけど、結局の所、その自問に対する答えは今まで出なかった。
これから先も、出ないかもしれないと俺は思っている。もしかしたら出なくてもいいのかもしれない。
だから俺は人との繋がりをなるべくは絶ってきた。話しかけられたりすれば返す事はするし、何かを誰かと一緒にやらなくてはいけない事などは断ることは無いけど、それ以上は踏み込まない。踏み込ませないという体を取り続けている。
下手に仲良くなって詮索されたくないし、俺はあまり他人ひとに興味がわかない。
その成果はもちろん学校生活に影響を及ぼし、友達と言えるようなクラスメイトはできたことが無い。いつも顔見知り以上知り合い未満。
そのまま大人になっていく。それでいいと思っている。
いつか、この考えの変わる日が来るのかは分からないけど、俺は俺のままでいられればいい。
たとえ、人でないモノが視みえるこの世界の中でも、俺は俺のままがいい。
このまま一人でも構わないと思っていたんだ。
あの時、あの場所までは。
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