第十五話 『デートではないと言ったな、あれは嘘だ②』
「今日は、どこに行くんですか?」
実は誕生日を祝われる予定の私、葉山大輔ですが本日どこへ行くのか全く聞かされておりません。
いやマジで。何か変な汗かくレベルで昨日から心配なんです…
「今日は、ショッピングモールに行こうかなと」
「ショッピングモール…!」
そう何を隠そうショッピングモールはリア充が集う地と相場が決まっている(偏見)
まあ普通は一人で行くもんじゃないし、ぼっちの俺は基本コンビニで用を済ませられるぐらいにしか物を買わないしね(泣)
「ところで葉山さんは、普段は服装とかって自分で選んでるんですか?」
「いやその、母さんが勝手に買ってきてるのを着てるだけで……」
「ふふ、そうですか。なら今日は自分で選んでみますか?」
「えー…ちょっと俺はセンスとか無いんですが…」
「嫌なら大丈夫ですよ。代わりに私が選びますので」
「そうですか、よかっ………え?」
え。今なんて言った?
俺の服を高瀬さんに選ばれるの?
マジで?
ちょっとこれは本格的にデートとかいうリア充御用達のイベントなのではなかろうか!
……そこ陰キャ妄想乙とか言わないの。泣いちゃうでしょ?
と冗談はさておき、流石に高瀬さんに服を選んでもらうなんてクラス、いや学校の男子たちは血涙物ではなかろうか。
……………あれちょっと待て。俺金持ってたっけ?
いや財布の話ではなく、普段俺が買い物をしないと言ったがつまりそれは俺が日常的に大量の金銭は持ち歩いていないことでもあるのだ。
つまり。
いざ高瀬さんに服を選んでもらって会計で、「あ、金ない」となり高瀬さんに奢ってもらうようなことになれば……死ぬな。うん間違いない。近場のビルから躊躇いもなく飛び降りる自信がありますねぇ…
高瀬さんにおかしいと思われないようにさりげなく財布を取り出し、中を確認すると……
「………は?」
「どうしました葉山さん?」
「い、いや、大丈夫ですよ何でもないですはい」
「そ、そうですか?(絶対なんかありましたねこれ……)」
何か疑われている気がするが気にしている場合ではない。
財布の中には……諭吉さんが3枚も入っていた。
あとはメモが一つ。
内容は……
『普段大輔はお金を持ち歩かないのでいざって時に困ると思うから剛毅さんと相談して三万円入れとくね?高瀬さんにかっこよく奢ってあげなさいよ〜 ps.女性に奢らせる何て事はしないようにby剛毅』
「……………」
ありがたいが。非常にありがたいが。
なんというか、いちいち余計なことを言わんと気が済まんのかこの母親は。
だがこれはハッキリ言ってい超絶ファインプレーだ。
三万あったらどんな物でも買えるやろ!(フラグ)
ちなみにどんな服が今流行りなのかさりげなく調べてみ…は?
一着一万…だと?
いや落ち着けこれはあくまで例外だろう。他のは、それでも五千円はするのか……
え、そんな高いの買わないよね?
あでも女性って化粧品とかに万単位でお金を溶かしていくって話をクラスの彼女もち男子が話しているのを聞いたことがある。えちょっとこれはシャレにならんのでは…
「今回はこういう所には普段葉山さんって来ないと思うので安くそれでいてお洒落な感じを目指していきましょう。だからそんなにお金の心配はしなくても大丈夫ですよ」
「……へ?」
「それに女子がお金使いが荒いなんて偏見もいい所ですよ全く!」
「………へ?」
心の中を完全に読まれているのはもはや当然の事実として受け入れ始めているのが怖いが。
流石高瀬さんだ。俺の心配なんざお見通しってわけだ。そこに痺れる憧れるゥゥ!!
いや待て今サラッと普段俺がそういう所に行かないのバレてるー……恥ず!
何かこういうのを女子にバレると無性に恥ずかしいの誰か分かってくれ……
「先程も言いましたけど、今日は葉山さんの誕生日なんです。葉山さんに楽しんでもらえるようにちゃんと考えてますから」
「……」
「だから安心してください」
惚れてまうやろがい。
でも高瀬さんなら俺の心配とか不安なんざ障害にすらなってないんだな。
何か心の荷が少し軽くなったきがする……いや気のせいだわ。
やっぱ高瀬さんとデートもどきするのって俺にはハードル高すぎるっすわ
ショッピングモール到着したはいいものの。
「ねえ君、この後時間空いてる?」
「……」
早速トラブルなんですが。
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