第十三話 『夜のお話 パート2』
「……母さん」
「ん〜?どうしたの大輔〜、まだご飯は出来てないわよ〜」
「いや、ご飯の話じゃなくて」
「ん〜なら明日の誕生日の話かしら!」
「う、うん。そうだけど」
「今年は外食じゃなくて家でお祝いするから〜、期待してたなら謝るわ〜。もしかして、前話してたお友達がお祝いしに来てくれたりして〜!ふふ、けど大輔に限ってそんなこと…」
「そうだよ」
「え?」
「あ、明日と、友達の高瀬さんって言う人が家に祝いに来てくれるんだって。それと明日10時から一緒に遊び?に行くからもし起きてなかったら起こしてちょ…」
「……………」
「か、母さん?」
「な、な………」
「おーい」
「な、何ですって〜〜〜〜〜!?!?!?」
母さんの心からの叫びが響いた。
まあ、そんな感じのリアクションになっちゃうよね。
「さて大輔〜?しっかりと話を聞かせてもらうわよ〜?」
「分かってるよ……元から話すつもりだったし」
「…………」
父さん父さん。顔、顔。なんか超怖いんですけど。これはあれだ、何というかもう言い逃れができないレベルでそっち系の雰囲気が出ちゃってるよ。いや違うって分かってるけど。
この表情を会社の会議とかでしてると思うと周りの人は………なむなむ(合掌)
さて本題だが……どこから話すべきか。
普通に高瀬さんと出会った時からでいいか。てかそこから説明しないとマジで何で高瀬さんと出かけるようになるか説明出来ないからな………いやどっちにしろ何で高瀬さんがここまで俺みたいな陰キャによくしてくれているのか分からないのだが。
「えっと、まずお祝いしに来てくれる人の名前は高瀬魅依さんって言って…………」
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「ていうわけで今に至る、と」
「「……………」」
「な、なんだよ二人とも」
やめて。無言やめて。
別におかしなことなんて何も……いやあったわ。何ならほとんどおかしなことだらけですわ。
「……大輔」
「な、なに?父さん?」
「……美人局とかじゃ無いんだな?」
「言うに事欠いて何言っとんじゃい!」
普通に失礼でしょうが!高瀬さんに対しても俺に対しても!
というか美人局とかそういう詐欺してるなら、恐らく既に全校生徒の半数以上が高瀬さんの魔の手にかかってるでしょ。いや半数じゃ収まらないか……
「だ、だよな。うん。そうだよな…」
「あらあら剛毅さん〜?大輔と仲良くしてくれている人になんて事言うのかしら〜?」
「い、いや待ってくれ母さん!別にその高瀬さんっていう人を貶した訳じゃないんだ!ていうか母さんだってそういう可能性を疑ったりしてたじゃないか!?」
「あらあら剛毅さんたら〜そんな事してないわよ〜?」
「いや、でも」
「うふふふ〜…」
「いや、何でも無い…」
か、母さん、恐るべし…
ていうか母さんもちゃっかり疑ってたのね。
「さてさて〜これじゃ半端な料理じゃダメね〜お母さん本気出しちゃうわ〜!」
「おぉ!母さんの本気の料理か!これは楽しみだなあー!」
「剛毅さん〜?あなたのための料理じゃ無いのよ〜?」
「あ、はい」
「ふふ〜冗談よ〜。ちゃんと剛毅さんにも楽しんでもらえるようにするわよ?」
「そ、そうか!そうだよな!ならお」
「お酒はダメよ〜?」
「……」
父さんまだ懲りて無かったのか……
ていうか俺抜きで話が進んでいってるのだが。
「という訳で明日の予定は話したから、俺部屋に戻るわ」
「待って〜大輔」
「ん?何母さん」
「………大輔は、その子のことどう思っているのかしら?」
「どうって……」
どうもこうも、俺は……あれ?
俺って高瀬さんのことどう思ってるんだ?
高瀬さんは誰にも気づいてくれない俺に気づいてくれて、そして俺が勝手に落ち込んでる時も励ましてくれた。俺と仲良くしてくれた。
俺は……いや、この気持ちは気のせいだ。
ちょっと気にかけてくれているだけで、高瀬さんは別に俺のことなんて好きな訳がない。
だから、この感情は不要なものだ。
高瀬さんとは、今のよくわからない距離感でいいんだ。
「高瀬さんは……友達だと思ってる」
「……本当に?」
「何だよ、本当にって……」
「本当に、友達止まりでいいの?自分の心に、嘘をついてないの?」
「……そんなことないよ。高瀬さんとは、あくまで友人としての好意しか持ってない」
「……そう。明日、楽しんでくるのよ?」
「わ、分かってるよ……おやすみ、母さん」
「おやすみ〜……大輔」
そうだ。高瀬さんとはあくまで友人みたいな関係なんだ。
だから、この胸の痛みは、気のせいなんだ。
「俺、忘れられてないか?」
「剛毅さん〜?空気読めないのかしら〜?」
「いや待ってくれ母さ……あああああああああああ」
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