第196話 リディアの報告と新しい商品。

夜、皆さんが集まって今日の出来事や売り上げについて語り合っている中、6人のネイリストも箱庭に入り、明日からの稼働について話し合ってたわ。

確かに貴族の出入りは少なくなったものの、冒険者用のネイルサロンは今も大盛況だと言うし、今後貴族側から余ったネイリスト6人は冒険者のネイルをすることになるけれど、問題はないとの事だった。


明日からはママと赤ちゃんの店もオープンとなり、一気に二つの店が開くことになる。

商店街もこれで更に活気付くことだろうとカイルたちはホッとしていた。



「では次にリディアから報告を」

「ええ、実は本日アラーシュ様の元へ向かい、テントセット一式とファビーの話をしましたの。そして、売り込みをすることが決まりましたが、単純に売るのではなく『貸出』という事で、案としましては【レンタルショップ・サルビア】を展開したいと思ってますわ」

「「「「レンタルショップ?」」」」」

「アイテムの貸し出しですわ。主にアイテムボックスの貸し出しや、年二回の行軍の際のテント一式に貸し出しなどですわね。冒険者から見てアイテムボックスとはとても貴重なものだと言う事は分かっていますが、一泊二日で料金銀貨1枚……とかなら、借りようとする冒険者も多いのではなくて?」

「多いだろうね、だが銀貨1枚はダメだ、銀貨3枚からスタートで」

「ではそうしましょう。一泊二日、一日借りて次の日には返しに来る方法で、銀貨3枚でアイテムボックスを借りることが出来れば、それなりにアイテム増えて懐も温かくなるんじゃないかしら? 無論、盗難防止に魔法契約を結ぶことは大事ですが、もし時間を過ぎてしまえばアイテムボックス自体が壊れる、もしくは、アイテムボックスを他の冒険者に盗難されそうになってもアイテムボックスが壊れて中身が飛び出す仕様にすればいいかと」

「なるほど……豪快な」

「また、レンタルショップを作る事で、ナカース王国にテント等の備品を貸し出し、年二回の行軍時にそれらとファビーを貸すことで、多額の防衛費を頂こうと思ってますの。売り出しにしなかったのは、ファビーまで売れといわれそうだったからですわ」



そこまで話すと、「確かにファビーの箱庭は凄いからな」とカイルが呟き、わたくしは胸を張りましたわ!

そうです、ファビーの箱庭は凄いのです!!



「可愛い弟子を守る為にも、レンタルショップを作っておくことはとても大事なんですの。アイテムボックスも大量にフォルが作りましたから余裕もありますわ。今後も増えるでしょうね」

「なるほど、それならレンタルショップを作ると言うのは一つの手だな。それに、駆け出しは無理でもある程度お金に余裕ができ始めたら、レンタルショップでアイテムボックスを借りることで比較的多くの物を手に入れることが出来て売ることも出来る」

「無論それは王太子領でもしてくれるんだろう?」

「ええ、考えてますわ」

「今王太子領では、元スラムだった場所や裏稼業をしていた奴らの住んでいた地域の解体作業が進み始めている。『専業特化地区』に移り住みたい工房も多いみたいなんだ。そこにアイテムボックスがあれば大分違うだろうからな。引っ越し作業も早く済む」



どうやら王太子が動き出したのは本当のようですわね。

是非、頑張って整えて欲しいですわ。



「とは言っても、レンタルショップは直ぐにはオープンできそうにありませんでしょう?」

「いや、冒険者なら喉から手が出るほど欲しいアイテムだからな、直ぐに整えてやりたい」

「冒険者ギルドに近い所に店があると助かるな」

「アイテムの展示もしておきたいから、王太子領は前にネイルサロンがあった場所をまだ借りたままだからそこを使うとして、問題はダンノージュ侯爵領か」

「それでしたら案がありますわ」

「どこを使うんだ?」

「道具屋があった場所を買いましょう」

「あそこをか?」

「店内は出来上がっているんですもの。無駄な出費も抑えられて楽では?」

「まぁ確かに……」

「それに、商店街周辺は既に殆ど買ってしまってますわよね? 空き店舗が無いのも現状でしょう?」



そう、商店街通りは殆どの店を買い取っている為、これ以上店を広げることが出来ない状態になっていますわ。新たにとなると、別の場所が必要不可欠になる。

それに――。



「それに、今回のテントの貸し出し……私の元実家とやり合う予定ですの。場所は少し離しておかないと面倒になりかねませんわ」

「そうか……テント系や備品は確かマルシャン公爵が手を付けてたのか」

「ええ、防衛費もギリギリまで使う程に値上げしてますわね」

「そこに大打撃を与えるのか」

「わたくしなりの最後の復讐……と言う感じかしら? 追い出されたことは別に気にしてませんけれど、一つくらい置き土産があっても宜しくなくて?」

「そう言う事なら」

「置き土産くらいは作ってやらないとな」



こうして、ダンノージュ侯爵領にあった元道具屋を買い取る事で、【レンタルショップ・サルビア】を作る事にしましたわ。

先に存在があるなしでは、ファビーを守る時に楽ですものね。



「直ぐと言う訳にはいかないが、早めに元道具屋を買ってくるよ。それでいいか?」

「ええ、構いませんわ」

「後は、レンタルショップにアイテムボックスを出来れば100ずつあれば助かるが」

「大量にありますわ。多分1000位」

「じゃあ、各場所に500ずつ置けるな」

「出来れば貸し出しは返却も兼ねて24時間営業にしたいので、店員は朝から夕方、夕方から朝方までの方法で雇いたいんですけれど、大丈夫かしら?」

「頼んでみよう」



――こうして、近いうちに【レンタルショップ・サルビア】が開くことになり、わたくしとしてもホッと胸を撫でおろしましたわ。

他にレンタルショップで貸し出すアイテムも考えると、キーパージャグはあってもよさそうだと思いましたわ。

今後わたくしもレンタルショップに置くアイテムをもっと絞らねばなりませんわね。

消耗品でなく、貸出出来るもの……テント一式以外にあるかしら?

そう言えば、懐中時計は皆さん使ってらっしゃるけれど、腕時計を使っている人は見ませんわね。

腕時計……良いかもしれませわ!

衝撃に強い奴とかありますし、オシャレな腕時計も流行れば、流行になるんじゃなくて?

もしくはアイテムボックスに付けて置ける時計とかどうかしら?

前世ではわたくしも鞄にオシャレとして付けていたけれど、裏に守りの模様や、中の絵柄に守りの模様を入れ込むと言うのはどうかしら?


お守り代わりにもなる時計なんて素敵じゃありませんこと?


それに、ギルド職員なんかも邪魔にならないスマートな腕時計があれば、それはそれでスタイリッシュな気もしますし。

作ってみる価値はありそうね。



「リディア、どうしたんだ?」

「ええ、時計を売ろうかと」

「「「「「時計?」」」」

「ええ、あなた方にはまず宣伝等になって貰うべく、明日までに作っておきますわね!」



時計と言えば、目覚まし時計や音の鳴る時計等などありますもの。

此方に来てからは目覚まし時計なるものも見たことありませんし、寝坊しそうな方々にはある程度需要もあるんじゃないかしら?

それに、音に合わせて終業時間が分かるのもいいですわ!

欲を言えば、時間と日時、それに曜日が分かるものが出来れば最高ですわね!

明日ロストテクノロジーで調べてみましょう!



「リディアは色々思いつくな……」

「商魂たくましいと言うかなんというか」

「まぁ、店が繁盛するのは悪い事じゃないさ。アタシもリディアちゃんの作る時計には興味があるし」

「待ち合わせの時間が曖昧じゃなくなるのは有難いかもしれないな」



その言葉にわたくしも頷きつつ、明日は時計作りやレンタルショップで貸し出すアイテムを考えますわよ!!

どんなものが良いかしら?





==================

冒険者でも時間にルーズな人っていると思うんですよ。

そう言う人たちにこそ、時計って大事かなと思ったり。

懐中時計ではなく、腕時計とか鞄に付けるものがあれば

大分変るのではないかな。


と言う事で、時計も日用品として売り出しそうな予感がします!


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