第161話 リゾート箱庭を、託児所に改造しますわ!

ミレーヌさんの箱庭に到着すると、流石王太子にと付けられた箱庭師だと思いましたわ。

ブラウンさんの箱庭よりも一回り大きく、建物も大きく3階建て。

庭と言えば良いのかしら?

そこの周辺は広い土地があり、尚且つ湖の中に立つ大きなリゾート用の箱庭とさえ言えましたの。

そこまできて、カイルは別の要件が幾つかあるとのことで別れましたが、わたくしは皆さんと共に箱庭のチェックを行いましたの。



「私の箱庭は、ナジュ王太子の避暑地として用意されたものでして」

「でも気温は少し涼しめの春になったばかりの優しい気温ですわね」

「はい、出来るだけ広い土地が欲しいと言うナジュ王太子の要望で、この様な箱庭になっています」

「中を見せて頂いても」

「構いません。ただ、リゾート用に作った家なので、広さだけはありますが……」

「それこそ求めていたものですわ」

「へ?」



わたくしはミレーヌさんの箱庭の大きなドアを開けると、中に広がる空間の使い方にスラムの孤児たちを保護した家を思い出しましたわ。

よくよく中を見ていくと、子供達の年齢に合わせた教室としても使えるだけの個室はあり、火や水の魔石を使えば水もコンロも使えることも分かりましたの。

ちゃんとしたキッチンがあるのは良い事ですわ。

収納もバッチリですし、これなら粉ミルクも哺乳瓶も沢山入れられますわね。


1階はキッチンとトイレ、それにとても大きな一室があり、子供が50人は軽く入るんじゃないかしら?

その上、別室も備え付けられており、そこはナジュ王太子についてくるメイド達の待機所となっていたそうで、そこでも40人の大人が机を並べて座れるだけのスペースはありましたわ。

更に、もう一室、こちらは備品室らしいですが、とても広く快適です。



「1階は、朝の登園時間及び、お迎え時間に最適ですわね。玄関には靴箱を置きましょう!1歳から3歳までの子たちが帰る頃はこちらのメイドさんたちが待機していた部屋を使いましょう。備品室には、予備のガーゼケットや、粉ミルク、哺乳瓶、着替えなどを置けるようにすれば問題ありませんわ」

「着替えもですか?」

「ええ、子供とは汗をよくかきますから着替えは必須ですわ。そうですわよね、先生方」

「ええ、子供とはとても汗を掻くんです。着替えやタオルは必須ですわ」

「着替えは親御さんに持ってきてもらおうとは思っているんですが、タオルはわたくしの箱庭から用意しますわ。無論、お昼寝用のブランケット等も。子供は着替えとノートを持ってくるだけにすれば、親御さんも面倒ではないでしょうから」

「面倒だと言って子供を放置する親が少なくなれば、とても子供達の未来にとって素晴らしい事ですわ」

「ふふふ、下町育ちの子供達はきっとヤンチャですわね」



そう言って二階に上がると、そこは広めの部屋が用意された場所になっていましたわ。

全部で10部屋。子供の人数によりますけれど、教室として使えますわね。



「これだけあれば、0歳児から2歳児までの教室、3歳児から4歳児までの教室と使えそうですわね。残り三つの部屋は、子供で体調が悪い子を寝かせる部屋にしましょう」

「ですがリディア様、子供の寝る場所と言うのは」

「そちらもわたくしの箱庭から用意しますわ。足の低いベッドにはなりますけれど、片付け終わったらアイテムボックスに入れてくださいませ。出来れば週に2回ほど、外で天日干しして頂けると助かりますわ」

「「「「「分かりました」」」」」

「しかし、子供をそれだけ預かるとなると、幼い子供達のトイレトレーニングや、オムツ問題が」

「オムツは使い捨てのオムツと、使い捨てのお尻拭きを大量にお渡ししますわ。ミレーヌさん、あなたの箱庭は自分で動かせるタイプですの? それともわたくしと同じで別途建築師が必要かしら?」

「いえ、私の箱庭は私の思うように動かせます」

「素晴らしいですわ! わたくしの箱庭ではそれが出来なくて。では、空いている部屋、具合の悪い子たちが入る部屋を一つ潰して、そこをトイレにして頂ける? 数は多い方が助かりますわ」

「アレだけ広いと、トイレだけで20個以上は作れますが……」

「でしたらトイレは20個、空いた場所に、トイレトーニングが必要な子供用の、おまると呼ばれるトイレを置かせてもらいますわ。後は大人用のトイレもお願いしますわね」

「ああ、懐かしい。わたくし達も乳母として働いていた時おまるを使ってましたわね」

「ええ、使ってましたわ」

「手洗い場も忘れず作ってくださいませね?」

「はい!」

「後は二階で必要なのは、手洗い場ですわね。階段から上がってきたスペースに広めの壁がありましたから、そこに子供用の手洗い場をお願いしますわ」

「畏まりました」

「後、階段には小さい子供用の手すりをお願いしますわ。階段から落ちて怪我をすることが無いように予備として付けて欲しいんですの」

「はい」



次々に案を出すわたくしに、ミレーヌさんは指示を出しながら家の構造をスキルで変えていき、他の方々は図を書いて分かりやすくしている方もいらっしゃいますわね。



「では、三階へ案内をお願いしますわ」



そう言うと、最後の三階へと案内してもらい、そこはカリヌさんとナジュ王太子が使っていたであろう部屋だと理解出来ましたの。



「もうナジュ王太子たちは此処には来ませんから、色々変えましょうか」

「変えるとなると、どの様に?」

「まず、園長先生であるミレーヌさんのお部屋が一つ、保育士さんたちが、子供が寝ている間に、無論子供が寝てるときの見守りで二人はいて貰いますが、上で色々報告や相談をする為のお部屋が一つ、応接室を一つ、わたくしの箱庭に入る為の部屋を一つ、わたくしの箱庭に入る部屋は大きめに取っておいてくださいませ。子供達も通りますから。それでも余ってしまいますわね。余った部屋は後日何かに仕えるように考えてみますから、準備だけはしておいてくださいませ」

「分かりました」

「ミレーヌさんの家を見学できたので、今度は外に行きましょう」



そう言うと、わたくし達は階段を下りて外へと向かいましたの。

木々も植わっており、遊び場となる場所は豊富ですわ。

此処に遊具等置けばそれなりに自由に遊べるんじゃないかしら。



「池には子供は入れますの?」

「はい、ただ、子供の足首までしか入らない湖なので」

「ふむ、湖の温度はそこまで低くはありませんわね。子供達が熱くて水浴びするくらいは出来そうですわ」

「リディア様は、子供が遊ぶときは自由に遊べるようにしたいのですね」

「ええ、大人になれば遊ぶ時間と言うのは限られますもの。小さい内に心も体も豊かに過ごす事こそが大事だと思ってますわ」

「素晴らしいお考えです」

「湖に入るには先生の許可が必要であることを子供に徹底させてくださいませ。それと、子供達が遊ぶ為の遊具を沢山用意したいと思いますわ。そうね、ミレーヌさんは砂場を用意できるかしら?」

「砂場ですか? 公園にあるよな」

「ええ、子供は砂遊びが大好きですわよ。それに、これだけ広い庭があるんですもの、年上の男の子たちも遊べるような遊具も作りますわ! そこで、ミレーヌさんの箱庭に入る為にも、薬師とわたくし、カイルにブレスレットもお願いしますわね」

「はい!」

「まだ仕事としてはスタートしていませんが、その間の給料もお出しします。あとは先生達には男性なら水色のエプロン、女性ならばピンクのエプロンをつけて頂きますわ。替えのエプロンもお渡ししますので」

「何から何まで有難うございます」

「では、最後にわたくしの箱庭に案内しましょう」







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お越しくださり有難うございます。

本日も一日三回更新です。

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