安部君のぼっきキャンプ~異世界ふたなり放浪記~

和蔵(わくら)

プロローグ

 どうも安部と言います。


 チロシキャンプでDをしています。


 チロシさんに言われたので、始まりの感じを同じにしてみます。


 宜しくお願いします。




~*~*~*~




 安部は、会社の元上司に家に呼ばれると、衝撃的な事を言われてしまう。


「安部君さ、俺は今日からエーチューバーになるから手伝ってくれるよね」


 余りにも唐突の切り出しに、安部は声を詰まらせるしか対応が出来ないでいた。


 だが、元上司は上機嫌で、買い揃えたと言って安部にキャンプ用具を見せびらかすのだが、どれもこれも、若い時からキャンプをしてきた安部からすると酷い品であったのだ。


 冬のキャンプに行こうとしてるのに、シェラフが夏用のペラッペラッを見せられた安部は頭を抱えてしまう。


「チロシさん、そのシェラフは夏用のです。冬場に使えば凍死してしまいますよ」


 そう言うと安部はポケットからスマホを取り出すや、直ぐに冬用のシュラフを検索しメーカーも指定してチロシに見せていた。


「ほぉーん、こんなのが必要なんだ」


 チロシはキャンプの事を丸っ切り解ってない素人丸出しで、安部に見せびらかしていた。


「そうです。チロシさんは冬のキャンプを舐めていたら死んでしまいますよ」


 安部は、そう言うとチロシにキャンプのイロハをチロシに説明しだしていた。その説明が終わったのは、もう日が暮れてしまい外が真っ暗になってからだった。




 あれから5年。


 チロシは安部の指導の下で、立派なベテランキャンパーに育っていた。来る日も来る日も失敗を続けるチロシを見捨てなかった安部のおかげである。


「安部君さ、今度の収録現場はさ群○県の○○市でいいかな?」


 安部はチロシから、次の撮影現場を伝えられると、安部は直ぐにキャンプ場を検索し始めたのだ。そうすると安部のスマホで検索した結果は、そのキャンプ場は標高が高い事が判明した。


 標高が高い場所は、急な雨や霧が発生する為に注意が必要である。その事をチロシに注意して、もしも何かが起こった時の対策も伝えていた。


「安部君は物知りだよね」


 チロシは笑いながら安部君を褒めていたが、安部からすれば、褒めてると言うか自分を煽っている感じがして、少しだけイラッとしてしまっていた。


 そんなこんなで、収録当日を向え、チロシ・安部・安田の面々は車に乗り込み撮影現場へと向いだす。


「チロシさん、シムニ゛の横に新しい車があるじゃないですか、あれって買ったんですか」


 安田は、チロシのガレージに置かれていた新車が気になり、チロシに聞いていた。


「あっ、アイツの事を聞いちゃう、しょうがないなー」


 安部は聞きたく無かったから、合えてその話題には触れないでいたのだが、若い安田君には車のスペックや値段が気になるのだろうなと安部は思う。 


「あの車はね、カナダの自動車メーカーで、主に、ラグジュアリーが非常に高く、銃弾ももろともしない完全装甲を装備した、ハンドメイドのスポーツユーティリティービークル(SUV)を製造しているメーカーの車なんだよ」


「えっと、つまりチロシさんが言ってる事は、カナダのメーカーから装甲車を買ったって事ですか?」


「その通り、あの車はアーマーナイトXVって言うんだ」


「重騎士ですか?確かに装甲車みたいな見た目ですもんね」


「そうそう、あの見た目に惚れてしまったんだよね」


「屋根には追加で小型サーチライトを装備してるんだよ」


「そりゃ、夜でも明るいですね」


 チロシと安田は新車の事で盛り上がっているが、安部には興味は無く早く会話が終われば良いと思っていた。


 そんな会話を聞きながら安部は現場へと到着する、そして、受付を済ませた後には、キャンプ場の禁止事項の説明を受け、いざ、撮影場所の選定に入り、チロシのあそこが好いだの、ここも好いだの、チロシに振り回される事三十分後に、ようやく場所決めも終わり、安部は一息つく為にタバコに火を付けてくつろいで居ると、急に霧が発生したと思うと、異様な速さで霧は濃さを増していく。


「安部君、霧が、霧が酷くなってるよ」


 チロシは少しばかり焦っているが、安部には、この位の経験は何度もあるせいか、至って普通であった。


「チロシさん、こんなの山では日常ですよ」


 安部はチロシにそう言うと、少ししてチロシの姿が見えなくなってしまう。


「チロシさん、何処ですか?」

 

 安部はチロシや安田の姿が見えなくなった事で、霧が濃いだけじゃないと判断すると、辺りを警戒しだした。


(ピチャ、ピチャ)  


 安部の耳に水の音が聞こえだし、安部は直ぐに近くには水辺はないと思い出す。


「チロシさん、安田君」


 二人を呼ぶが、二人からの反応はない。


 そうしている内に、安部は意識が遠くなるのを感じ取っていた。




~*~*~*~




 安部は気が付くと、見知らぬ場所にうつ伏せになっていた。




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