廃教会3
『アイヴィス、下手に使役されている子供達を相手にしているとそれだけ子供達を危険に晒す時間が増えるわ。だからさくっと、あのいけ好かない男から片付けちゃって』
ティリスは、こんな状況だが、冷静に分析した上でアドバイスをくれた。
『わかった』
連携した方が攻撃しやすいから、イリーナにも伝えるべきなのだろうが、今言えば目の前の青年にも聞こえてしまう。
俺の動きを見て合わせてくれるように期待するしかないだろう。
イリーナに目配せすると、言わんとしたことを理解してくれたのかコクリと頷いた。
よし、なら行くぞ。
「【
子供達の頭上を飛び越えて、一気に間合いを詰める。
子供達の振るった剣は、見事に
あとは、鎖の間合いないに飛びいるだけだ。
「使役した状態のものは、僕の意思どおりに動くんですよ?」
俺の進路を青年によって跳躍させられた子供の一人によって塞がれる。
かろうじて振り下ろした
危うく、俺が子供を殺してしまうところだった。
これでは間合いを詰めることは愚か、
「僕を倒したければ、子供を殺すという罪を重ねるしかないんですよ」
ことも無さげに、大それたことを青年が言ってのける。
「それが聖職者の言うことか……下衆め!」
イリーナがロムルスを思いっきり突き出すが、やはり子供達によって刺突することができない。
「お前は、その子供達から魔力機関を取り出すつもりなんだろ?戦いに使っていいのか?」
魔法に目覚める前の子供達の魔力機関であれば、自分の体に取り込み自らの魔力を高めることができる。
「さすがは大魔術師、ご名答です。可能なら大事な被検体ですから使いたくはないですよ?でもそれって僕がいないと出来ないじゃないですか?」
つまりは、自分の身が可愛いということか……。
どこまでも底辺の人間らしいことを言ってくれる。
「まさか、お前がそこまでクズだとはな……」
その話を聞いて一つ気付いた。
気付いたことと言うのは、コイツが第五階梯の次元牢獄を一人で行使しできた理由だ。
「クズってどこかですか?」
「お前、今まで何人の子供達の魔力機関を取り込んで来た?」
魔力機関の融合は自身の魔力を増大させる、つまりは、子供達を殺して魔力機関を取り込むことで人族は、行使できる魔法の限界を越すことが可能なのだ。
「嫌だなぁ、人族の発展のための研究に使っただけですよ?自分の体を犠牲にして僕も研究をしているんですから」
人族の発展のための研究?自己犠牲?
なんて都合のいい解釈だ、こんな奴がいるから不幸な目を見るやつがいる、人族の発展の足を引っ張ることになる。
どこまでも利己的で自己中心的な人間だ。
俺は嫌気がさした。
「ね?だからショータイムの続きを早くしましょうよ、そんな怖い顔をしないでさ?」
子供達の命を尊厳を踏みにじるような行為をいけしゃあしゃあとショータイムなどと称している。
正直言って虫唾が走る。
コイツを生かしておけば、どれほどの子供達の命が失われるかわかったものじゃない。
だから――――コイツは絶対に殺す!
「お前にもショータイムを見せてやるよ」
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