【 子猫 】


 ベランダのプランターに植えてあったスノードロップの球根から芽が出始めると、子猫のニャーちゃんがその芽に興味を示し、土を掘って悪戯いたずらをした。


「あっ、ニャーちゃん、ダメだよ。それは食べ物じゃないから」

「にゃ~」


 慌ててベランダにいる子猫のニャーちゃんを抱き上げる。


「これはね、スノードロップって言って綺麗な白いお花が咲くのよ」

「にゃ~」


 ニャーちゃんの顔に頬擦りしながら、教えてあげる。


「あとね。このスノードロップの球根には、毒があるのよ。ニャーちゃんがそれを口にしたら死んじゃうよ」

「にゃ~」


「分かったら、もう悪戯はやめようね。ニャーちゃん♪」

「にゃ~」


 ニャーちゃんは、とても物分かりがいい。


 それ以来、一度も悪戯をすることはなくなった。


 ――その年の12月24日のクリスマスイブの日に、彼から久しぶりに食事でもしようとお誘いがあった。



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