謎の写真と冷たい彼女~二つの謎を解き明かせ~

なのの

1.謎解きは突然に

 中学二年の一学期が終わろうとしていた7月のある日、朝一番にメッセージと共に写真が送られてきた。

 それは知らない電話番号からで無視しようとしたが、写真は僕と仲の良い女子だった事と『謎を解け(1/5)』とのメッセージ。

 こんな挑戦、無視なんて出来る訳がなかった。


 僕の名前ははなぶさ優登まさと、何処にでもいるしがない中学生探偵だ、自称だけど。

 一応、名探偵部、通称ホームズクラブの部員だ。

 そんな訳で寝不足で瞼をこすりながら写真を眺めている。でも、何も分からない。

 カメラ目線である事から、盗撮ではないと思うから事件性はない。

 つまり急ぐ必要は無く、当人に撮影した人を聞けばいいと思っていると2枚目が送られてきた。

 メッセージには『誰にも話してはいけない(2/5)』とある。

 一枚目は代継よつぎ沙々子ささこ、親友の彼女だ。誰かにほっぺを人差し指でつつかれていた。

 二枚目は秋好あきよし政志まさし、クラブの副部長で百点の答案用紙を見せびらかせてピースしていた。


「指でつんつん、百点……だめだ、何が言いたいのかさっぱりわからん」


 食パンを咥えてスマホの写真を思い出しながら学校に向かった。

 これがラブコメなら角から現れた誰かとぶつかって恋が始まるのだが、生憎誰も急いでいないらしく出会いは無かった。


「おかしいなぁ、僕が主人公ならそろそろそういうシーンだと思うんだけどな」


 そんな独り言を言いながら、食べ歩いていると喉が詰まった。

 食パンを食べ歩くのは無謀だった!今後気を付けよう。どうして物語のヒロインは飲み物も無しに毎日、食パンを食べきれるのかという謎にぶち当たりる。あれはフィクションなのだろうかと思いながらいよいよ酸素不足で死にそうになる所を、ペットボトルのお茶を手渡された。

 なんて可愛くて親切な子なんだ!と思いながらお茶を受け取り一気に飲み干した。


「ありがとう、君は命の恩人だ、何かお礼をさせて欲しい」

「どうしたしまして、じゃあ、お礼は謎解きでお願いね」

「謎解きってもしかして……、というか、おはよう、今日も可愛いね」

「おはよ、優登まさと君もかっこいいよ。喉詰まらせてたけど」


 クスクスと笑う彼女は古歩道フルフォード衣緒理いおり、父親がイギリス人のハーフで金髪碧眼という天使、じゃなくてクラスメイトだ。所謂高嶺の花という奴で、付き合えるなら付き合いたいくらいだが告白できる程の勇気はない。ちなみに、同じクラブに所属している。

 謎解きとは朝から送られてきた写真の事だろう。だが、誰にも言うなというからあえて話題を逸らした。

 という事は、送り主は衣緒理いおりちゃんなのだろうと、この時は考えていた。

 次の瞬間までは。


「おーい!!優登まさと!!待って!メッチャ待って!」


 遠くから駆け付けて来たのは加賀かがあつし、幼馴染で親友というポジションでそろそろ誕生日のハズだ。こいつも同じクラブで1枚目の被写体の彼氏に当たる。彼女が居るというだけで羨まケシカラン。


「なんだよ、二人きりの幸せな時間を邪魔するなよな」

「そう言うなよっ、聞いてくれよ事件なんだ、謎を解いてくれ!」

「おお??」


 衣緒理いおりちゃんが言うのは例の写真の謎解きかと思えば、コッチの事か?

 衣緒理いおりちゃんに目線をやると、コクコクと頷いている。

 そういう事であれば、あつしの依頼を受けるしかないと詳しく聞く事にした。

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