逃走する…そう思ってた時期が俺にもありました

「こんなの…あのーあれだ!

労働なんたら法に違反してるだろ!」

目の前で広がる惨状を目に、俺はネットで仕入れた情報を駆使して、女に向かって文句を言う。

これを出したらどんなブラック企業も恐れ慄くと聞いた。

どうだ!これで少しは…

「それがどうかした?

私達の企業にそんな言葉は通用しないから」

なぜかニヤリと笑って俺に書類を渡してくる。

その書類を読んでいると

『この会社には法律など存在しない』

などと馬鹿げたことが書いている。

「ふざけんな!

こんな企業で働けだ?

舐めたこと言ってんじゃ」

ガチャリ

「…は?

なんだよこれ」

「首輪よ。

後、さっきも言ったけどね。

貴方は私達の所有物…奴隷なの。

つまり、少しでも反旗を翻そうものなら私は遠慮なく罰を下すわ」

…ざけんじゃねえ

そんな簡単にお前らの言いなりになんかなってたまるかよ!

「くそ!これ早く外せ!」

「ダメよ。

私達のいうことがちゃんと聞ける様になるまでは、絶対外さないから」

「んなこと知るか!早く外」

バチッ!

首に鋭い痛みと痺れが走る。

「今回はこれですますけど、次からはもっとキツくするから」

その言葉から今の衝撃はクソ野郎が放ったものなのだということがわかった。

…だったら…

「残念だったな!

せめて出入り口でも塞いでりゃよかったものを!」

俺は必死に走り出し、出入り口を潜ろうとした時…

無茶苦茶硬いドアにぶつかって俺は倒れた。

「そう簡単に逃すわけないじゃ無い」

女は笑いながらツンツンと額を叩いてくる。

…どうやら、本当に逃げれないようだ…

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