第65話 灰塵

失恋なんて たいした事ないって

ずっと思ってた

あきらめるだけなら 簡単なコト

辛くないと思った


1年ぶりに現れた あいつの横には

知らないひと

大切そうに包み込んでる その腕

引きちぎりたくなるほど

嫉妬に溺れるなんて

らしくないほどの戸惑いに

私に少しでも似た人なら

救われたのかもしれない


突然蒸発した あの夜から

誰も信じられなくなった

愛する意味さえ 忘れていた

くすぶる熱 隠すように


幸せそうな微笑み 私にもそんな顔 

見せてくれたよね

私にした事 その人にもしてあげてるの

あのキスも あの囁きも

焼けただれる程の 強い痛み

どうぞ崩れ落ちて

最初で最後の人だから

そして私は 灰になります

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