第203話 第2の戦場
城に着くまでなるべく下を見ないようにした。
それはつい助けに行きたくなるからだ。
アイリーンにも見るなと言ってある。
彼女は優し過ぎて耐えられないかもだからだ。
俺は先ずは城に行き、そこを立て直して町全体に兵士を派遣したりの指揮所を機能させる事に集中するべきだ。
その方が救える命は多い。
また、その後はニーナ達への魔力供給源と化すだろうが、回復系を使える者にその旨を伝え、城の周辺に救護所を立ち上げさせなければだ。
城は遠目にも酷い有様だった。
やはり半壊しており、地下にいるみっちゃんに取り敢えず外に出られるならと聞いたが、階段が塞がれており閉じ込められたと聞かされた。
だから急いでいる。
で、城に着いたが、どう見ても復旧は無理だ。
指揮を取っている者をニーナが捕まえて聞いたが、どうやら王族や重鎮は潰れた所で会議をしている最中で、地下には偶々現れたみっちゃん達が高校生達と降りていたそうだ。
そこにいるのも下っ端の騎士や使用人だ。
正確には城が襲われて地下に避難したようだ。
「王族の生き残りは?」
指を指した先には12、3歳位の身なりの良い女の子が1人おり、色々な者から指示を仰がれていた。
ニーナを先頭にそこに割って入る。
「私は剣聖と言われているニーナだ。見知った者もいるだろう」
誰かが、本物だと叫んだ。
「俺はクマーシャル等を統治する事になった栃郎だ。悪いが俺達が指揮を取る。良いね?」
その子は頷くだけだ。
「現場責任者は一旦集まれ!」
何人かが来たので俺達が指揮を取るのと、ドラゴンを倒した時の魔石を見せて頷かせた。
「城はもうだめだ。せめて生きている奴を救いたい。だから城はもう諦めてくれ。後で出すがまずは消すから、城の跡地にいる者を救助し、支配階級がいれば救助の陣頭指揮を任せる。俺達は怪我人を回復するのに専念したい」
俺の話を皆よく分かっていないが、みっちゃんにトランシーバーで告げてから、俺は城の外壁に触れながら城を収納した。
すると生きている者が地下にその姿勢で現れた。
俺はみっちゃん達を抱き寄せては外に出し、怪我の酷い者を急ぎ外に出し、ニーナに治療を任せた。
やはり王族はいなかったが、騎士団団長の1人が虫の息で最初の救助者にした。
俺は命の危機に晒されている数人を地上に上げ、残りはアイリーンにポチってもらった梯子を出して自力で登らせた。
回復させた騎士団団長に指揮を委ね、無事な近くの建物を接収して臨時の救護所を作り、救助要請者からの対応を騎士団に任せ、怪我人を連れてくるのと、回復系を使える者を集めた。
また、補助にシャルルを派遣しアウィンが護衛だ。
で、俺の護衛はセレネ。
重症者を優先するのにみっちゃん2号と騎士にトリアジーを頼んで、みっちゃんはアイリーンと共に復興の手伝いだ。
アイリーンは色々な物、特に死体をくるむシートをポチったりの物資の調達係だ。
死体を何とかしないと疫病の蔓延が怖いので最優先にしている。
また、シートでくるむのは、最終集団として俺の収納に入れる為だ。、
それもあり高校生に町中に落ちている魔石を拾わせる。
それをアイリーンに渡し、アイリーンはそれをお金代わりにポチっていた。
食料や毛布等だ。
俺は一旦セレネを伴い、救助要請のある所に行き、瓦礫を収納したりして埋まっている人を助けていた。
死体は収納に入るのでその場に残る者のみ生きているが、無常にもその場に瓦礫ごと戻さざるを得なかった。
時折怪我人を運び、その度にニーナにキスをして魔力を補充したりした。
魔力回復系のポーションは男の回復系に使う。
女は時間短縮で有無を言わせずキスでやっていた。
そうやって別の戦場での戦いが始まったのだった。
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