第179話 起きたら裸の女が!

 俺は自分が今この世界で1番賢いと想っていた。

 あながち間違いではない。

 何故ならば現代における日本の大学を優秀?な成績で卒業しているからだ。


 ごめんなさい嘘をつきました。

 大学は辛うじて卒業です。

 単位が足らなくて補習や追加のレポートを出してお情けで単位を貰いました・・・


 でもこの世界にない知識を持っているし、何よりも大学を出ているのは大きい。 

 またお金の動かし方、経理はバッチリだ。


 大学側は両親の自殺、その後身を寄せていた祖母の死と度重なる家族の死に同情し、正当な理由が認められると勘違いしてくれた。


 実際は自動車関連のイベントに友人と参加していて、うっかり最低出席日数を割ってしまった。


 こう言えば聞こえが良いが、無茶なレース参加に夢中になり、偶々葬儀が重なっただけだ。


 実際若気の至りというのかな?かなり荒れていて、当時は女関係もだらしなかった。


 ドリフトにもハマり、街道で調子こいている時にガードレールに突っ込み、崖から落ちて車をボコボコにした事もある。 

 奇跡的に数回転するも、崖の下は道路で、少し打ち身があっただけで何とか自走したりできていた。

 各種ロールバーと4点式シートベルトとレカロシートは俺の命をしっかりと守ってくれたな。


 そんな昔の夢を見ていた。


「そのドリフトというのは楽しいのですか?」


 俺は傍らにいるシャルルから質問されていた。


 彼女は俺の胸元に体を預け、俺にその裸体を押し付けている。


 俺は呟いていたようだ。

 また、背中にはアウィンがやはり裸でくっついているのが分かる。


 俺も裸だ。


「ああ。昔の、もう30年位前の夢を見ていたんだ。あの頃は無茶をしたんだよな」


「おかしな事をおっしゃられるのですわね。3年ではなく30年・・・?ですか?流石に陛下はまだお生まれになる前では?」


 俺はアウィンも抱き寄せると、その温もりを感じていた。

 やはり人肌は良い!


 ただ、抱き寄せて背中に腕を回しているから、胸が見えない。

 しくじった。

 抱き寄せる時に向きを変えるんだった。そうしたら、手を伸ばした先に胸があり、どさくさに紛れてモミモミしたのに。


 でも意味が分からない。

 シャルルはいつでも求めて欲しいと、その代わりにみっちゃんやニーナより序列は後ろで良いから妻の1人にして欲しいと言われていた。


 本当はとっとと手を出して俺の女にしたかったけど、王族の女に手を出す事の意味は重過ぎて、一連の問題が解決するまで彼女の事は先送りにしていた。

 ただ、今のこの状況は必要なら説明してくれるかな?

 でも今、生の胸が見えなくて良かったのかも。

 背中はそれはそれでセクシーだけど、胸を見たら間違いなく理性が飛び、2人を同時にやってしまい、彼女らの求める責任を取る事になるところだった。


 シャルルは分かるが、何故アウィンも?それはともかく、シャルルが言った事でなんとなく覚えているが、気になるワードがあった。


「そう言えばドラゴンがどうのと言っていなかったか?魔王が云々?」


「流石陛下はこの状況に落ち着かれておいでですのね。益々好きになります。手を出されても宜しいのですわよ。引き受けて頂いた対価とお思いください。シャルルの身も心も陛下のモノ。このアウィンもお付けしますわ」


 俺はシャルルにデコピンをくれてやる。


「ひゃいっ!」


 短い悲鳴をあげる。


「失礼しました。ドラゴンですわね。簡単に言いますと、ドラゴンは魔王の眷族ですわ。古文書にこうあります。魔王現れし時ドラゴンが現れるであろう!ただ、ドラゴンも魔王とは関係なく数百年に1度くらいは現れますが、短時間に2体目を倒されておりますので、ドラゴンの出没状況から魔王復活は確定です」


 いつの間にやら俺の布団の上でシャルルが正座をしていたが、その裸体を感じ取れていなかった。

 話の内容が俺を大賢者モードにしていたからだ。

 アウィンは何も言わず服を着だした。


 俺は部屋を見渡し服を探したが、察したアウィンが俺に持ってきて着させていく。


 その間もシャルルは俺に配慮して象徴としての皇帝。城の者は顔と名前を把握するが、下々の者は知らないようにすると。


 こちらから名乗らなければ町中でバレないと。

 大陸を統一したのは今まで誰もいなかった。

 俺なら何とかするとシャルルは思っているとうっとりと離す。


 もう逃げられないようなので、俺も腹をくくる。


「分った。俺の知識を総動員して大陸を統一するのは良い。面倒くさいのは嫌だけどさ、その魔王とかを倒したら引退するからな!それで良いのか?」


「はい。引退後なさるときは私達は側室で良いのでご一緒にいさせてください!」


「シャルルは前から言っているから分かるが、アウィンもか?」


 アウィンはまだ服の前が開けていたが、剣を取り忠誠を誓ってきた。

 しまらないが、気になるお胸よりも、《なぜ?》だ。


「確かに受け取ったけど何故だ?この前は確かお前とか貴様とか言っていなかったか?」


 俺はアウィンの服を直しつつ胸のボタンを留めていく。

 隠すのは勿体ないが、今はその時ではない。


「女が男を好きになるのに理由がいるのだろうか?それとも私のように骨張った筋肉質な女は嫌いなのですか?あっ!どさくさに紛れて胸を触りましたね!責任を取ってもらいます!」


「アウィン、支離滅裂ですわよ。陛下、アウィンは1人の女として陛下を愛しているのですよ!」


 俺はアウィンの事が加わった事もあり、頭がぐちゃぐちゃだったが、シャルルにワンピースを着させた直後、みっちゃんがノックなしに入って来た。


「何やっているのよ!起きたのなら早く来なさいよ!朝食が冷めるわよ!」


 俺はまだシャルルとの話の続きがあったが、食堂に連れられていく。


 そしてこの国の支配者が俺になり、統治を前国王の次男に(深刻王は王だったと認めない)委託すると聞いた。

 家臣一同がおり、俺に一言を求めてきた。


「シャルルから聞いたから受け入れるが、知っているのは城の警護の者までにして欲しい。町中に普通に出られないと困るから。それと城を戻すから、城のあった場所から人を全て追い出してくれ。いたら死ぬからな。それよりも腹が減ったな」


 そこから食事をしていたが、アイリーンが俺に何が起こったか話してくれた。


 どうやら発動したばかりのタウンドリフトを短時間で2度も長い距離で使ったので、その魔力に体が慣れておらず、魔力酔いというのに掛かったらしい。


 本来だと少ない人数を隣町等で使い、慣れる必要があったのでは?と皆から言われ、みっちゃんからはもっと辛辣だった。


「あんたねぇ!賢いのか馬鹿なのかどっちなのよ!少し考えれば分かるでしょ!いきなりやる事じゃないでしょ!練習をすっぽかした罰よ!それに当たりはシャルルとアウィンだったけど、私も瑞希もしたんだから、皆に感謝しなさいよ!」


「みっちゃん、それだと栃郎さんは分からないわよ。あのね、その魔力酔いの時は体が冷えて、場合によっては死んじゃうの。だからみんな裸で直接温めていたの」 


 そんな所だと思った。

 この前もそうだが、やはり温めてくれていたのだと分かる。

 初めて抱く時は、俺が服を脱がさないとな。だって段々と肌があらわになっていくのって興奮するもん!


 コホン。

 俺は皆に感謝しつつ、やはりあーんさせられていたのであった。

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