第160話 閑話・シャルルとのキス?

 俺は目覚めた時に左手はシャルル、右手はアウィンの胸を掴んでというか、それぞれ2人が俺の手を自らの胸に当てている。


 迷ったが、モミモミする。

 すると2人が起きた。

 うーん!スンバラシイ感触だ。今なら何だこれ?で済むだろう。

 但しやり過ぎればNGだ。


「レオン殿、目覚めたのだな。では皆を呼んでくるとしよう」


「良かったですわ。ふふふふ。このような時に私達の胸を揉まれるとはいけない御方」


 2人は布団から出るとその見事な裸体を恥ずかしげもなく俺に見せ、目の前で服を着ていく。

 勿論ガン見で脳内メモリーに録画だ!


「状況が分からないが、ここはどこ?」


「流石にいくらレオン殿とはいえ、そうまじまじと見られると私でも恥ずかしいぞ!」


「レオン様、見たければ止めませんが、背を向けて頂けると嬉しいですわ。ここは私の寝室ですのよ。身内と職人さん以外で殿方が入ったのはレオン様が初めてですわ。それとレオン様も直ぐにおトイレに行くのと着替えをする事をお勧めしますわ」


 俺はハッとなり背中を向けるが、裸ではなかった。

 下半身がおかしい。 

 気持ち悪いんだ。

 恐る恐る布団を捲ると超恥ずかしい格好だった。

 おむつをしていて、しかも濡れているから気持ち悪い。


 意味がわからない。お腹も異様に減っていた。

 2人の着替えを見るどころではなく、椅子に用意されている服を掴み、シーツを巻いてトイレにBダッシュだ。


 即時におむつを外し、備え付けの復路に入れて収納にポイした。

 収納にある濡れ布巾で下半身を拭いてから清潔な服に着替える。


 意味が分からない・・・


 着替えてからシャルルの部屋に行き、ドアをノックしてから部屋に入る。


 ふと思うのは、記憶が混乱しているのか、確かドラゴンを倒してから帰路についたのだが、猛烈な眠気に襲われてからの記憶がない。

 朝チュンだから2人とやっちゃったな!と思うもおかしい。

 おむつをしての赤ちゃんプレイのはずもない。


 しかも俺はおむつに小便をしていた事から、プレイではなくおむつ本来の使い方をしていたはずだ。


 髭は真っ先に確認したが、剃られていて何日寝ていたのか判断が出来ない。

 食べ物もアイリーンがポチっていたものだと意識がなくても飲めるだろう。


 つまり体の状態から判断しようとしても、数日の事位だと分からない・・・


 俺がドアで立ち竦んでいると、シャルルが泣きながら抱きついてきた。

 よく見ると1人だ。勿論着替え終わって室内着を着ている。


「このまま目覚めないのかと心配しましたのよ。良かった。うううう」


 先程とは違い、泣き虫さんだった。

 俺は訳が分からぬまま抱きしめて背中を擦る。

 女性の涙に俺は極端に弱い。


「いったい俺に何があったんだ?起きてからの感じだと、俺は数日寝込んでいたんじゃないか?馬車にて町に戻っている最中からの記憶がないんだ」


 シャルルはエンピあるとは別の意味で余り感情を表に出さない。

 淑女はこうあるべきという姿勢を見せるのが王族の努めとでも言わんばかりに、時折微笑んだり、目がぎょっとしたりはするが、怒りで叫んだりはしない。起こる場面でも笑顔なのは貴族王族の女性特有のようだ。

 そんなシャルルが泣いているので俺は抱きしめて背中を擦るしかなく、彼女が俺を見つめており上目遣いで目を瞑る。

 どう見てもキスを期待している。


 俺はごくりとし、その可憐な顎を摘みそっと唇を重ねようとしたその瞬間、バーン!とドアが開き、俺達は真っ赤になりながら離れた。


「ちょっとあんた何やっているのよ!今シャルルにキスしようとしていたでしょ!?5日も意識をなくしていたのに、復活したらもう女を求めてキスですか!このたらし!」


 俺はキスしようとしていたとみっちゃんに責められたが、その前の5日間意識を無くしていた事を告げられた事に驚いた。


 その後俺が空腹からふらつくと、アイリーンが抱き止めてくれた。

 そして流石にやばいと感じその場で土下座をして、シャルルが泣いてしまったからキスをして宥めようとしたと苦しい言い訳をしていた。


 だが、その途中盛大にお腹が鳴り、皆が笑う。

 そしてニーナの番だ。


「アタイも腹が減ったから飯にしようぜ!シャルルにキスをしようとしていたなんてどうでも良いさ。皆とキスをすれば問題ないんだからさ」


「仕方がないわね。後でちゃんと皆にキスをするのよ。さあ、続きをやりなさいよ!そしたら朝食を食べながらこの5日の事を話してあげるんだから」


 そうして皆は引き上げた。


 そして俺は困った。

 シャルルと2人取り残されたと。


 そこには上目遣いで目を瞑・・・っておらず、目を細めて俺を見ていた。 

 さて困った。

 シャルルとの初キスをこんな味気ない所でしたものか。

 確か王族のキスは重いはずだ。

 婚約時にキスをするとか。

 つまりシャルルを娶ると決めないとしちゃああかん!


 俺ははっとなり、前髪をかき分け、その額にそっとキスをして逃げるようにその場を離れたのだった。


注)2人が裸でしかも胸にレオンの手を胸に持って行っていたのには理由があります。

 次話に出ますが、2人の行動はあくまで必要に迫られた真面目な内容となります。

あしからず。

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