第66話 side 弘幸3

 4人は唖然としていた。


「おい、皆、こいつらの武装を解除して、縛っちまおうぜ」


「ヒロ、貴族だぞ、不味くないか?」


「のぶ、大丈夫だ。どちらが上か、いつでも殺れるが、やらないだけだと味方にした方が良いと悟らせるだけだよ。それに領主には何もしないぜ」


 4人が倒れている護衛の懐を漁り武器やら財布を抜き取る。弘幸はカバンからロープを取り出し、護衛を縛り上げ、床に転がした。


「おいおい、ヒロ、なんでロープなんて持っているんだよW!」


「キルア!何いってんだ。瑞希をコマす前に縛らなきゃだろ。そのためにだよ」


「そうだったな。で、こいつらどうすんだよ?」


「悟空、こいつの剣を持って入口近くで警戒を頼む。剣道部のお前なら使えるだろ?良知は俺の後ろ、ノブとキルアはこいつらの横だな。そろそろ起こすぞ」


 このスキルは60分程で自然に目が覚めるか、スキルを解除するまで昏睡状態が続く。


 弘幸は領主の横でテーブルに足を上げ、悪ぶる事にした。


 ううう・・・

 3人が目を醒まし、異変に気が付いた。


「侯爵さんよ。状況が分かるかな?あんたのボディーガードは縛られて床に転がっているぞ。ノブ、解いてやってくれ」


「くう。何をした?」


「立場を知って貰いたくてね。俺等には力がある。今の状況がそうだ。心配すんなって。殺す気ならもうやっているからさ。俺達困っているんだよ。助けてくんないかな?勿論タダとは言わないぞ。あんたのやる事に多少協力位してやるさ。これはあくまで俺達は凄いだろう?とアピールしたに過ぎないからさ」


「そのようだな。儂の協力者になると言うのか?」


「ああ。俺達の生活の面倒と、できりゃあ女をあてがってくれるなら」


「分かった。そうじゃな。王都にて儂の弟が商会を構えていてな、手練れを求めておったな。儂の知り合いとして紹介するから、適当に付き合ってくれれば生活には困らんじゃろ。弘幸殿達にうってつけのはずじゃ。それと1つ仕事を頼まれてくれたら、性奴隷を報酬としてやろう。どうじゃ?」


「話しが分かるねぇ。侯爵様からは俺と同じ匂いがするぜ。つまり真っ当な仕事じゃあないんだろ?」


「何、そんなに難しい仕事ではない。最近王都にて頭角を現し始めた商会を襲う協力をしてくれれば良い」


「悪いが直接はやらないぜ。直接やる奴を密かにターゲットの近くに送り込む位や、少しの手伝いなら出来るぜ」 


「それで良い。今回は無理ならば殺すまではしなくてもよい。失敗しても良いから、けしかける盗賊のアシストをして、事が始まれば逃げれば良い。バリモンド、弘幸殿達をお前に預ける。客人としてもてなすように。ラフト商会を襲った後は王都に行く手配を頼むぞ。儂は弟に手紙を書くでな」

 

 その後詳しく待遇等を話し合う事になり、5人は侯爵の客人として、暗部の手伝い等をする事になるのであった。

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