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第27話 あの夜は
緞帳が上がる
あの夜は 喧噪の中
あなたは
足早に上手から出て来た
何を急いでいるの……
何かあった？
あなたの携帯が鳴る
話しながら
真顔でセンターへ移動
仕事の話しね
あの夜は
下手から駆け寄る私を
軽く抱き上げた
一瞬暗転
次の瞬間
ふたりをピンスポが照らすなか
あなたは私を抱き締める
いつもより強く強く
いつもより長く長く
いつもよりずっとずっと優しく
｢最後の恋は幸せだった？｣
私の台詞をきっかけに
ミラーボールは回り始める
あなたは私を抱き締め
優しく唇を覆う
もう離さないでね
心から想っているの
あなたを
静かに緞帳は降りていく
浅い浅い眠りの中
ひとり彷徨っていた
抱かれたくて
言葉が欲しくて
温もりが欲しくて
ただ……逢いたくて
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