第18話 黒髪の君

そろそろ三社祭り

あの頃は 毎年肩腫らして

俺もお前も担いでたな


どんぶりにぱっち半纏に地下足袋

だぼシャツ ねじり鉢巻き

黒髪は夜会巻きにしてよ~

襟足が色っぽくてさ


見惚れていたわ~


ひと休みするとき


人目を避けて夜会巻きを解き

ゆさゆさとくゆらす

お前の恥じらいに

瞬殺された俺……


町会の若い衆は

「黒髪の君」と陰で呼んでたんだぜ


今は少し離れて神輿を見送る

浴衣姿の俺たち


襟足にそっと手を添え

乱れを気にする仕草

堪らないんだよ


つけ上がるから

絶対言わないけどな 


お前はずっとずっと俺の焦がれる

「黒髪の君」だからな


しゃぁねぇから

大事にするよ

 

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