第13話 ある日

僕はとても切なく思い出される 

事が今もあるんだ


中学に入ってすぐ

好きな子が出来てさ

活発で面白くて

揶揄いのある子だった


ある日僕はその子に告白された

嬉しかったなあ

だってその日僕も告白しようと決めていて

一緒に帰ろって書いた紙切れ

渡したんだ


だから告白するって決めた日が

同じだったなんて……

これって奇跡だよね

いや~運命だったな


手を繋いで一緒に帰って

写真交換して

廊下とかで逢ったらさ

特別な笑顔くれるんだよ


初恋は絶対薔薇色だったよ

僕たちが知ってる


ふたりで見渡した小さな世界は

確かに薔薇色だった

ちょっとだけ泣いたんだ

ふたりでさ


ある日心の行き違いが……

元には戻れなかった 

幼すぎたんだ


それからは寂しかった

その子笑わないんだもの


僕もそっぽ向いていだけど


三年生になって

だいぶ経ったある日

偶然廊下でふたりきり

僕はその子を見つめた


その子は特別な笑顔で

あれから薔薇色の世界見た?

って聞いてきた


僕は笑いながら

ばーか あれは初恋の

特権なんだぜ

だからふたりだけの一瞬なんだよ


ねぇ……ずっと言いたかった

ごめんね……嫌な奴だったね

私……


そんなこと言うな!

好きだった……ずっと


そんなこと言わないで!

ずっと好きだったの……


ある日行き違がった心を

無かったことには 

出来なかったけど

気持ちはまた通じあい

少しだけ成長した僕たちに

笑顔が戻ったんだ


それでも卒業間近のある日

僕らは泣いたんだ


後悔をすべて流してしまいたくて


さよならと口に出すのが怖くて


もう逢えないって


判っている


それでも逢いたいと想う

僕たちは

ただ泣くしかなかったんだ


今なら不思議かもな

理解なんて出来るわけないし


僕たちの初恋だから……

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