私の婚約者と妹は共謀して「私に父親殺し」の罪を被せようとしてきます。

西東友一

第1話

「ルイズ、お前が父親を殺したのだろうっ!!そんな奴とは結婚する気はない。婚約破棄だっ!」


 彼の18歳の誕生日パーティーに参加した優秀なお嬢様学校に在籍する私の友人たちと、名だたる貴族もいるけれど、お金を積めば入れる彼の友人・・・?たちが集まる中で、私を指さして叫ぶのは、ガブリアス家の次男であり、私の婚約者で同い年のガブリアス・グリフ。シャツのしわが気になるガラの悪そうな友人を二人従えて、私にそう申されました。


 周りの様子を見ると、彼がお誘いした方の中には、身なりの整った方々のグループがため息をついています。もしかしたら、学校でもこのように振る舞い、失望されていらっしゃるのでしょうか。


「大丈夫? ルイズ」


 私は本当に良い友人を持ちました。私の友人たちは私に近寄り、私を心配してくださいます。それを見てグリフとそのご友人がたじろいでいます。もしかして、殿方のくせに数の力で私を言いくるめる気だったのでしょうか。


「私は大丈夫よ。それより、ごめんなさい。こんなところに皆さんを呼んでしまって・・・」


 私は友人のみんなに深々と頭を下げました。婚約者の誕生日ということで、婚約するのだから友人も連れてこいということだったので、みんなを連れてきましたが、どうやらグリフの狙いは私を友人の前で恥をかかせることのようですね。婚約破棄はともかく、彼の誤った発言は訂正しないと。


「私は父を殺していませんが」


 私は身に覚えがないので、さらっと答えました。


「嘘を付くな、そもそも父親が亡くなったというのにパーティーに参加するなど、全く不謹慎な女だ」


 グリフがそう言うと取り巻きの二人が相槌をしながら笑ってます。でも、そうしているのは彼らくらい。はぁ、本当に哀れですわ・・・。


「私が出席したのは、グリフ様がぜひに出席してほしいと懇願したからですよね。それに、私の父が私に殺されて亡くなったとして、まだ数日しか経っていないのに誕生パーティーを開催する婚約者の方が問題かと思いますが、いかがでしょうか」


「うっ・・・・・・それはお前を励まそうと、いや、お前にせがまれてだっ!!」


「だとしたら、先ほどグリフ様が仰った「パーティーに参加する」という言葉を使うのはおかしいですわ。それなら、「パーティーをせがむ」と私に言うべきでは?」


 ある聡明な方が仰っていました、人を罠に嵌めようとするならば、徹底的にやらないと。

 

 なので、私はグリフの言った言葉の矛盾を指摘しました。


「うっ、うるさいっ!! おっ、お前を気遣って言ったのだ。見苦しいぞ、ルイズ」


 見苦しいのはどちらかは周りの皆さんはわかっていそうですけれど、茶番には付き合ってあげましょう。でも、ちゃんとしたオチがない茶番はダメですよ、グリフ。


「じゃあ、私がどうやって殺したのか、教えてくださるかしら、グリフ様」


 私がそう言うと、グリフはニヤリとして私を見ました。


「ふっ、こっちには目撃者がいるんだ」


 そう言うと、三人の影から一人の女性が出てきました。


「ふふふっ」


 子どもっぽい笑い方で現れた女性。


「嘘でしょ・・・ヴィトリール」


 その人は、私の2つ年下のヴィトリールでした。

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