第7話
ポーカーは駆け引き。
ブラフや駆け引きが必要だと伺ったことがあります。
(なので、試してみましたが駄目ですか)
ウィン王子の表情からは情報が一切に入りませんでした。
(まぁ、半分本気でしたが、いいでしょう。さすがにこの手札であれば…勝ちは必至)
私は適当な数、チップを前に出そうとしました。
「あぁ、いいだろう」
私は手元が狂って、積み上げたチップの一部を崩してしまいました。私は慌てて直そうとして、
(あっ、まさかっ)
深淵をのぞく時深淵もまたこちらをのぞいている。
私はウィン王子にカマをかけて様子を見るつもりでしたが、逆に私のリアクションを見てウィン王子が探っているのではないかと思い、急いでウィン王子の目を見ました。
(なんで、そんな目をされているのですか)
ウィン王子の目は私を怪しむような目ではなく、とても澄んだ綺麗な目で私を慈しむように見ていました。
「すっ……すいません、これでお願いします」
気持ちの整理が付かなかった私は量を減らして、チップを出した。目の前にいるのは王子だ。そんな尊い人物の命、こんなところに賭けていいはずがない。賭けるとするならば、絶対に勝てる手札か、負けても約束を反故するに違いない。でも、約束を反故にするような人には見えないし、絶対勝てる手札と言っても、私の手札はストレートフラッシュ。ふつうにやったらまず1日に数回出るはずのないカードが手元にあるのだ。そう考えたら、紙切れであるトランプの一枚一枚がとても重く感じた。だって、王子の命なんて私の手には余るのだから。
「オールイン」
ウィン王子は私の瞳を見つめながら、微動だにせずノータイムで宣言した。
「「えっ」」
不愉快ではあったけれど、私の手札を知っている私とカイジンは思わず驚いた声を出してしまった。
(どうしよう……)
私が賭けたのは微々たるチップ。フォールドして降りてしまってもいい。
(行けよっ)
カイジンが私を促すような目で見てくる。
(命なんていって、ありゃブラフだ。勝ったら、それなりの額を出してくれるはずだ)
うるさい。
(そん時は、いかさまを黙っている口止め料は少しよこせよな)
卑しい。
そんないやらしい笑みを浮かべる人じゃなかったじゃない。
(あっ……)
私は一つの可能性を全く考えていないことに気が付いた。
「どうされますか?」
カイジンが聞いてくる、というか急かしてくる。
「人生が掛かっているので、少しお時間をいただけますか? ウィン王子」
「もちろん、構いません」
私はひとまず深呼吸をした。
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