第27話 重慶攻略/最前線④
光った。
それは流れ星の如く発射され、質量の塊は大地を震撼させた。吹き上がった土煙に内部から破裂す熱量は気球のように膨れ、爆ぜた。
後方からのミサイルは豪雨の如く降り続け、戦車隊の砲撃は休まることなくただ撃ち続けた。湧き出る砲煙は、随時砲身周りを白い煙で包み込んでいる。周囲に霧が立ち込めているようだ。
その奥から現れるのは
上空はではJ-20がIAと、ドッグファイトが繰り広げられていた。
パイロットは恐怖した。的は人間サイズで戦闘機には不可能な能動的な機動でミサイルの追尾を軽々と躱した。ミサイルは容易に迎撃され、機関砲は宙を舞い動揺した瞬間に攻撃を受ける。仮に当たったとしても何事もなかった様に突撃してくるのだ。まさに空を舞う悪魔、死神とでもいうべきか。
発射されたミサイルは
当然他の友軍機も次々と撃墜されていった。
この光景に司令部の各員は息を飲んだ。自軍の保有戦力が容易に削れていく様を見るのは良い気分ではない。だが誰もが注目したのはそれだけではなかった。
「ミサイル、信号消失」
「そんなバカな...!」
余りの出来事に一瞬我を忘れてしまうところだった。突然ミサイルの信号がすべて消えたのだ。敵との距離が200mを過ぎたあたりからだ。
「状況を報告しろ」
騒然とする室内に映し出された映像は見るものを疑った。それはミサイルが敵のロボット目前で爆発しているという信じがたい光景だった。
「衛生映像が敵ロボットを識別できていません」
モニターに移された映像からは、居るはずの位置に敵の面影が一切見られない。
先ほどUAVはその姿を捉えていた。
...通信の不調なのか?...
有り得ない。映像はリアルタイムで受信されているし、システムの診断も正常値を示している。衛星通信が妨害されているわけではない。
...ではなんだ?...
衛星にハッキングでもしたのだろうか。
...新手のステルスシステムか?...
ともかく、今はこの状況を打開することが先決だ。今必要なのは直接的観測手段だ。
「現地との通信状況はどうか?」
「依然として良好です」
「よし、ドローンを展開しろ」
これは保険だ。万が一、衛星通信が妨害されても戦線の様子をモニタリングして指揮を継続できるようにするための対策だ。これを複数展開し戦線とのデータリンクを構築する。発着場のドローンは一斉に飛び立ち、それぞれが戦場に向かって飛翔した。外観から従来の物より大型化している。軍事仕様と言うわけだ。ドローンは低空飛行で侵入し戦線より3kmに着地。そして印象深い偵察用大型カメラが戦場を反射するレンズに収めた。
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