想いを寄せる人に限ってモテない
シィータソルト
冴えない告白
第1話
あぁ、どうして振り向いて貰えないのだろう……好きな人に限ってさ。精一杯告白しても答えは興味ないので……。また、逆に嬉しいけど複雑な告白も男女問わずよくされる……バスケ部エース故に。それが好きな人ならば喜んでお受けするのだが、私は自分が好きになった人と結ばれたいのだ。おかげで中々成就しない。どうやったら、好きな人に振り向いて貰えるのだろう……。
何故、自分だけ……他の皆は幸せそうに寄り添う人がいるというのに……ほら、あそこなんか授業そっちのけでお手紙交換ときた。
「……榊、榊! 授業中に何ボーっとしているんだ」
「……はっ!! すみません。考え事していました」
「ちゃんと聞いてろよ。テストに出すぞ、ここ」
「……はい」
授業中に、ルーズリーフでの手紙のやりとりをしているカップルを横目にしたせいで、冴は自身の恋愛コンプレックスに触れてしまいさらには先生から注意をされてしまう羽目になってしまった。トホホ……と思いながら板書をノートに写す。
4月のうららかな日差しと春風が心地いい。窓際の席だから、これらをより感じられる。冴は何を努力すればモテるのか考え始めた。学生でモテる条件と言ったら、勉強ができることか運動ができること。社会人になったら、稼げることがモテる条件だろうけど、まだ私達はモラトリアム人間。今は勉学と運動がやるべきことである。2年生になったのだし、甘酸っぱい青春を味わいたいのだ。誰に告白すれば良いかな?同じクラスの人?違うクラスの人?先輩?後輩?あぁ、わかんないよ。告白してくるのは、同級生だから、同級生にしようかな。冴も付き合うなら同級生が良いと思っている。
いつも仲良くしてくれている友達に告白しようか?でも、断られてしまった時の友情が破滅し、その後の生活への支障がでないか迷ってしまう。同じクラスにしても毎日顔を合わせるわけだし、難しい。じゃあ、違うクラスか。1年生の頃仲良かった子に話かけてみるか。
と、考えている間に授業終了のチャイムが鳴る。板書も無事写し終わった。善は急げ。冴は2年A組から隣の2年B組へ移動する。前側の扉から入ると、クラスメイト達がお喋りしている。前側の席に居た。元クラスメイトの
「萌依~」
「ん? どうしたの冴、こっちに来るなんて珍しいじゃん。新しいクラスに馴染めてないの?」
「いや、そんなことはないけど……萌依に会いたかったから……」
萌依は、冴の濁した言い方から察し、話していたクラスメイトと別れ、冴のところへ来てくれた。
「いいよ、じゃ、2人で話そうか。そっちのクラスどう?」
「まぁまぁかな。一応友達はできたけど、私は浮いているような気がする」
「冴もそうか。あたしもそんな感じ。さっきはクラスメイトとだべっていたけど聞き役に徹していたし。あの子達、1年生の頃同じクラスだったんだってさ」
「私もそうなの。萌依と同じ。ねぇ、これからお昼一緒に食べない?」
「いいよ、あたしもなんか寂しかったんだよね」
「あ、休み時間そろそろ終わっちゃう。戻るね。ありがと!」
「こちらこそ、またね」
萌依と恋人になったら楽しそうだな……。よし、お昼まであと1時限、頑張ろうと思う冴であった。
だが、また始まったこそこそイチャイチャ。席が隣同士で恋人同士で手紙交換か。いいな。萌依がいてくれたら、私も授業そっちのけで手紙交換してるのに。萌依のこと意識し始めたら、萌依とこうしたいを考えるようになっている。でも、これで振られて友情にひびが入ったら……。萌依と恋バナをしたことがあるが、その時は勉強で精一杯だよね……って。一応進学校だから勉強が難しいのである。あと、部活。この
休み時間になる度に、冴が萌依の席に訪れ、読者の邪魔をするちょっかいを出したり、お菓子を一緒に食べたり、勉強のわからないところを一緒に解くなどと楽しい1年間を過ごしていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます