第3話…現在②
痛たたたたっ!
よく見たら、膝もすりむいて血が滲んでいた。
観覧車から慌てて戻ろうとして、転んだあとだ。
あれから、このロッキングチェアに座ったら、勝手に現在に現在に戻ってきたらしい。
再び開いた扉の外は、さっき見た駅の駐車場だった。
それにしても、若かったなぁ榊原さん。
なんか、可愛かったし。
ん?
ジャケットのボタンに何か付いてる。
あ、榊原さんが昔集めてたと言ってたキャラクターの小さなぬいぐるみだ。
引きちぎって持ってきちゃった。
ごめんなさい。
そして、時間を超えたせいかそれは、とても色褪せていた。
ま、記念にもらっとこ。
バッグに付けたりしてみる。
ぴこん🎶
『今日は新潟まで来ています。美味しいものを食べる予定です』
そんなコメントとともに、大きな海鮮丼の写真が榊原さんから届いた。
私のことを略奪どころか、おぼえてもいなかったことがちょっとショックだったけど。
「いいなぁ、美味しそうですね」
ぴこん🎶
『今度は一緒に食べましょう♪』
「はい、新潟までは行かなくてもいいので」
ぴこん🎶
『はてなスタンプ』
『新潟はお嫌いですか?』
「嫌いじゃありません、遠いです」
もう、相変わらずだなぁと笑える。
そういえば、このまえ高校生の時の話も聞いたな。
学年1、可愛いと評判だった女の子から付き合ってくださいと言われたことがあると。
どれだけ可愛い子だったのか、見てみよう。
どうせ、私のことなんかわからないんだし。
ポケットの鍵を見る。
よし、あと1回あるはず。
明日行こ。
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