第25話
「とりあえず先に申し上げておきますと、………誠に申し訳ございません。全て私が原因のようですわ……」
赤と青に顔を染めた夫妻を回収し、全員が席に着くなり、アディエルが夫妻に頭を下げた。
「え?」
「は?」
次期王太子妃に頭を下げられ、茫然となる夫妻。
「分かりやすく言えば、アディエル狙いの不届き者がいてね。うちの情報を仕入れるために、こちらに入り込む機会を狙ってたところ、利害の一致した連中がいて、彼らを利用して入り込んでくれたようだ…」
カイエンの笑っているのに笑っていない笑顔を見ながら、二人はコクコクと頷く。既に怖くて声が出なかった…。
「とりあえず伯爵家に入り込んでるのは、一人だけのようですわね。泳がしといて確保いたしましょう!」
「っ!?我が家に…ですか?」
驚くランディに対し、既に話を聞いていたロゼッタは落ち着いていた。
「ええ。グリオール伯爵家に手を出した方々にはすこぉし、キツめのお仕置をさせていただきましょう♪」
「大丈夫ですわ、ロゼッタ様!証拠集めは我がカラディル伯爵家特製の
アディエルの役に立てる出番が来たと張り切るリネットと、それを見て苦笑するエイデン。
ちなみにこの自白剤。騎士団御用達になっている、リネットの執念の賜物である。
そこからは手順の確認がされ、役割分担、証拠集め、状況の準備がなされていき、ファム侯爵家への対応確認も、ひっそりと隣国王家とやり取りしつつ、アディエルは辺境伯へも連絡。
二人に対する処罰の確認と、協力者の確保も行われ、国王夫妻の許可も取りーついでに議会の許可もぶんどり、国王在位二十周年の式典の裏で、ちよっとした捕物劇が行われた。
「…これで、国内での用事は片付いたかな?」
最後の書類に確認の署名をし、カイエンは顔を上げて問いかける。
問いかけた先にはアディエルがにこやかに微笑んでいた。
「ええ。あちらには既にダニエル達が先に向かって、秘密裏に交渉してくれているそうですわ」
「……リネット嬢が暴走してないと良いのだけど…」
「まあ、大丈夫ですわ!ダニエルもですが、エイデン様もいらっしゃいますもの♪」
カイエン的にはアディエルの狂信者とも言うべき彼女の
「まあ。なるようになるか……」
「はい!では、陛下達にご挨拶をして参りましょう?」
首を傾げながら、差し出されたアディエルの手を取り、カイエンは執務室を出ていくのだったーーーー。
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