第4話
「つまり、お二人の仲が現状どういう状況なのか。そして、どうされたいのかということを確認しないといけませんわね」
にっこりと微笑むアディエルに、相談してきた姉弟は、コクコクと頷いている。
「そうですわねぇ……。まずはシルフィア様がお気になさっている封蝋とお手紙の件から調べて参りましょうか♪」
アディエルは渡されていた手紙の入っていた封筒を、リネットへと渡した。
「リネット。こちらの蝋の成分を調べられまして?」
受け取ったリネットは、にっこりと微笑む。
「もちろん、出来ましてよ。区別したいので、宜しければ現在使用されているロゼッタ様の物も入手頂けるとありがたいですわ」
「まあ。ではグリオール伯爵家にある蝋の全てを入手しましょうか。もしかしたら、それぞれに決まっているかもしれませんものね」
うふふふ…と微笑み合う二人の姿に、姉弟はとんでもない相談をしてしまったのではないかと、ひっそり後悔してしまったのは内緒であるーーーー。
三日後。二人の茶会に招かれた姉弟は、そこに自分達の兄達もいることに驚いた。
「…困るね、お前達。アディは私の婚約者だよ?私の妻となるために忙しいアディの手を煩わせるだなんて、いけない妹と弟がいたもんだ……」
ふわりと微笑む兄ーカイエンの微笑みを見て、姉弟は身体を震わせた。
優しい笑みを浮かべてはいるが、目の奥が全然笑っていなかったからだ。
そして、彼がアディエルを唯一の妃とするために、何をしていたのかを思い出し、二人は同時に深々も頭を下げた。
「申し訳ありません、お兄様!」
「申し訳ありません、兄上!!」
「……うわぁ、僕の存在消されてない?」
カイエンの反対側に座っているエイデンが、肩を落として溜息をつく。
「…仕方ありませんわ。エイデン様は役に立ってませんし、怒られても怖くありませんもの…」
シレッと隣の婚約者ーリネットにそう言われ、エイデンはますます肩を落とした。
「カイ様。話が進みませんわ。邪魔をなさるなら、執務室にお帰りくださいな」
にっこりと微笑んで右頬に手を添え、コテンと左側に首を傾げたアディエルに、カイエンは慌てて彼女の手を取った。
「ごめんよ、アディ。君との時間を奪われたような気がして、ついシル達に妬いてしまったんだ…」
「…左様ですか。では、もう満足なされましたでしょう?」
「もちろん。君の邪魔をする気は私にはないしね」
そう言って振り向くと、姉弟に座るように手を振った。
「それでは、調査の結果をお話しますわね。リネット、宜しくて?」
「ええ、アディエル様♡」
スッとリネットが手を上げると、同じ封蝋の付いた封筒が四枚、侍女によりテーブルに並べられた。
「こちら。アディエル様が入手して下さったグリオール伯爵家で現在使用されている封蝋の全てです」
その中から二つを取り出すと、リネットはシルフィアへと差し出した。
「こちら、何かお分かりになりますか?」
差し出された二つを手にし、ロゼッタはそれをじっくり見ようと顔に近づけた。
「……これ…。多分、こちらがいつもロゼッタがくれた手紙に使われていた物だと思いますわ…」
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