煤けた灰路

幹上 灯

苦しみを

胸の奥、真っ暗闇の向こう側は、ひどく尖っていて、それはうちから体を貫いていた。

赤黒い液体が飛び散っていた。


「ねえ、あなた」

「ねえ、あなた」

「なんでこんなことをしているの」

ぐちゅりぐちゅりと胃袋を抱えてうずくまっている

暖かい

天を仰げば、開かれた手たちがそらを覆っている

地面はとっくのとうに血まみれで

赤の濁流が小さな川を作り出していた

「彼女がよんでいる」

「かのじょがよんでいる」

大腸でできた地をぐにょりと歩き続ける

ぐちゃり、血が出た

ぐちょりとあふれる液体

「あなたは、かわいい欠陥品」

腸でできた手すりを手繰って前へすすむ

ぐにょぐにょしてて

それは味がしなくなったガムをずっと噛んでいるような気持ち

ぐちゃぐちゃ

くぱぁと肉袋が開かれている

中を覗こうと体を傾けるとぐたぐちゃの地面に滑っておっこちた

そして、死んだ。




  

 

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