大聖女の治療


 王都ロンバルに到着したのは、昼過ぎでした。

 ライネーリ辺境伯家ご一行という事で、面倒な手続きは一切なし、そのままライネーリ辺境伯家のタウンハウスへ。


「ではジョスリーヌ様、私どもは宿屋を探しますので、これでお暇を、いままでありがとうございました」

「あら、何処へ行くの?逃がしはしませんよ、貴女、エマさんたち、逃げそうですから、しっかり見張っておいてね」


 でメイドさんに、しっかりと見張られているというか、監禁されていると……

 豪華な部屋に閉じ込められているのです。


「どこにも逃げませんから、そんなにかしこまらなくてもいいですよ」


 このメイドさん、実はジョスリーヌ様付きで、ピネー侯爵家から付き従ってきた方。

 いつもいる5人の内、4人はライネーリ辺境伯家でやっとった方、アンドレ君付き、マリアンヌさん付き、ジョスリーヌ様付2人というわけです。


 ピネー侯爵家から付き従ってきたメイドさんは、明らかに警護役も兼ねています。

 まあ、フレイヤさんとやりあえば、フレイヤさんの圧勝でしょうが、そこらの騎士さんぐらいなら、叩きのめせるでしょうね。


 あれ、すこししんどそうですね……


 健康診断でもしてみましょうか?



 ※※※※※

 健康診断


 名前 カルロッタ

 年齢 25歳

 性別 女


 健康状態 不良(子宮頸がん)

 心理状態 疲労 

 

 性交状態 異性4人、同性1人、異種0人

 和姦婚約者 ライネーリ辺境伯家警備隊長ルキーノ

 売春和姦者 前ベネット王国兵士ウルバーノ

 強姦者 ベネット王国準男爵バルナバ

 強姦者 元婚約者トッチ準男爵家次男ベニート

 奉仕愛欲対象者 姉カテリーナ


 状態異常 修正の必要を認めず

 ※※※※※


 これも少しばかりよくなっているような……病名が分かるようになっています。


 えっ、あの隊長の婚約者?

 初体験が姉?

 なんともね……


 子宮頸がんですか……


「ねえ、少し聞くけど、下腹部や腰、背骨、下肢の痛みなんてないかしら?」

「臭いおりものとか褐色の色のおりものとか、ないかしら?」


「えっ!……そんなことは……」

「貴女、私が何者か薄々は知っているのでしょう?」

「聖女様かと……」


「その私がいうのよ、貴女、『子宮頸がん』という不死の病よ」

「そうですか……亡くなった母の症状とよく似ていますから、覚悟はしていたのですが……」


「隊長さんと婚約したのでしょう?」

「はい……でも、破談にしてもらいます……」


「まあ、あの隊長さんの婚約者ですからね……しかたない、希望するなら、治療してあげましょう」

「あの……治せるのですか?それに私はお金がないのですが……」

「治せますよ、治療代は無料でいいわ、ただし、このことに関してはお口は永遠に沈黙よ」

「沈黙の誓いをたてます……」


「よろしい、では下腹部を見せてね」

 下ばきを脱がして、『細胞活性』を発動、むき出しの部分を撫でているエマさんです。

 『細胞活性』は悪性部分を削除もできるようです。

 そして削除した部分を正常に復元したのですね。

 この間、痛みもなく、ほとんど時間もかかっていません。


「どうやら完治できたようね、我ながらこの力、凄いと思うわ」


 クロエさんが、

「他言無用ですよ、もらしたら私たち困った事になりますのでね」


「どうか、信じてください!」


「信じますよ、隊長さんとお幸せにね、結婚のお祝いと思ってください」


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