白パン・黒パン・茶色パン


 バウナハでそのまま1泊、主教館の婦人用馬車を徴発、その馬車に放り込まれ、かなり早くに出発、バンベルクを目指します。

 騎士さんたち、私たちへの待遇がいいですよ♪昨日までぞんざいな扱いでしたが、今朝は貴婦人扱いです。


「バンベルクまで、通常は馬車で2日らしいですよ」

「でも今日中になんとかたどり着きたいようです、夜も走るとか聞きました」

 クロエさんが教えてくれました。


「それよりどうされますか?騎士団の食堂で働かれますか?」

「どうしましょうね……」


「安全は確かですが、自分で身を守れる術が分かりましたし……」

「今日1日ゆっくりと考えましょう」


 今は午後の1時、お昼も止まりそうにありません。


 そろそろ恥ずかしい話、おトイレが……


 携帯トイレなんてのを取り寄せ……

 さすがに恥ずかしいので、取り寄せ済みの100均の『簡易保温・防水ポンチョ』をトイレポンチョ?がわりに……

 『モノ』は収納の『ゴミ箱』に!


 クロエさんもお世話になったようですよ♪

 

「殿方はいいですね、女と違い我慢が出来るようですから……」

 そうですよね、膀胱の長さが違うのでしたね。


 ウェットティシュなんてので手を拭いているクロエさん。


「お腹が減りましたが、お昼の為に止まるという事はなさそうですね、お昼は簡単なものにしましょう」


 ●ーソンさんのお弁当でも取り寄せましょうか、でも500円までですから、お肉関係は無理ね、いや、ありました!


「クロエさん、お肉は食べる?」

「食べます!好物です!」


 『だしの●●●牛丼』480円

 『チキンのパスタサラダ』340円。

 『白桃凍頂烏龍茶』150円。


 変な取り合わせでしょうが、お肉ですから、いいのでは?


「大主教様に差し上げたかったですね」


「馬車、止まりそうもありませんよ」

「予定が遅れていますからね、バンベルクで就任のお祝いがあるそうです」


 夜の8時に、強行軍でバンベルクにたどり着いたわけです。

 バウナハをでてここまで14時間、途中、1度も止まらなかったのです。


「ねえ、バンベルクに入ったところ、城壁のすぐ内側に、小さい修道院がなかった?」

「気が付かなかったですね」


 なにか気になるのですよ、後で誰かに聞いてみましょう?


 バンベルクの大主教館は、バタバタとしています。

 なんとか部屋をあてがわれましたが、後はなしのつぶて……


「お風呂とご飯は望み薄ね……」

「そうですね……おトイレの案内も望み薄ですね……」


「トイレは今から探しに行きましょう!」

 ピンチになっておトイレを探すという、無理ゲーは絶対に!避けなくてはなりません!

 

 館内をウロウロ、メイドさんを捕まえ、おトイレの場所を……

 使用人の女子トイレでした。


「私たち、どうやら誰かの使用人と思われたようですね」

「お風呂は無理、身体を拭くぐらいですか……」


「ご飯は何にする?」

「あまり目につく食材は、控えた方がよろしいかと」

「じゃあパンですね、違和感のないものというと……そうだ!コッペパンなんて、どうかしら?」


「コッペパン?」


「そうか、コッペパンって、私の居た世界の私の国のパンだったわ、こちらだったら、小型バゲットのリッチタイプかしら?かなり柔らかいわよ」

「それって、かなりの高級パンではありませんか?」


「クロエさん、柔らかいパンはよく食べていると思うけど?」

「柔らかい白パンはなくはないのですよ?でも大体は黒パンや茶色パンですよ」


 なるほど、小麦は高いようですね……茶色パンって、全粒粉から作っているはずですから……


「近頃の茶色パンなんか、混ぜ物ばかりで、酷い物です!」


「えっ、全粒粉じゃないの?」

「それは小麦パンという物です、下級貴族やお金持ちの家で良く食べられています、白パンなんて祝祭の日に食べられるかな、ぐらいの物なのですよ」


「それじゃあ、ルホバ村で提供したパンは……」

「大主教様が主催する祝勝会で出されたのですから、不思議ではありませんが、皆感激していましたよ、特にあの最後の甘いパンは、砂糖はとても高いのですから」


 白パン・黒パン・茶色パン……パンが2つでパンツ?

 なんかね……ガキのころのスカートめくりなんて、突然思い出したりして、おかしくなりました。


「どうしたのですか?急に笑われましたが、私、おかしな事を云いましたか?」


「いえね、私、元男でしょう?子供のころ、悪ガキでね、当時、女の子はスカートを穿いていてね、それをこうすることがはやっていたのよ」


 素早くクロエさんのスカートをめくるエマさん。


「あら、クロエさん、黒いショーツを穿いているのね、黒パンね♪」


「意味が分りました!なら、えい!」

「エマ様は白パンなのですね!」


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