プロローグ
「ユリア・フォン・アリーヌ!!ここで貴様との婚約を破棄する!!」
バアン!!と言う音が響き渡り、周りの空気が振動する。
私、いや俺、ユリア・フォン・アリーヌは婚約破棄され、俺は前世の記憶を思い出した。
そしてこの転生が10回目だということも。
自分語りをさせてもらうと、俺は元々平凡な家に生まれた、ただラノベとアニメを愛する普通の男子高校生だった。
それがある日異世界から召喚され、テンプレにテンプレを重ね魔王や魔族たちと戦った。
瀕死になりながらも結局の所勝ったのだが、俺も決して無事ではなく、あまり時間をかけないまま一回目の人生を終えた。
2回目の人生はとある村の家族の長男に生まれた。その時の俺は魔法に強い適正があり、賢者と呼ばれるまでに上り詰め、人々に敬拝、尊敬されていた。そんな俺の人生は龍から少女をかばったことで人生を終えた。
3回目の人生は薬師の両親の長女として生まれ、両親の手伝いをしてるうちに伝説の薬師になった。俺は病弱な砂漠の国の王子や、不治の病にかかった姫など沢山の人を助けたが、俺はその治療していた伝染病にかかり亡くなった。
こうして俺は様々な道具を開発した大錬金術師、伝説の魔物を従えたテイマー、そしてダンジョンを攻略した伝説の冒険者エトセトラエトセトラの様々な人生を送ってきた。
どの人生も優しい仲間たちに囲まれていて、どの人生も必ず20歳を超えることが出来なかったことと、一人の少女に会えなかったことを除けば本当に最高で幸せな人生だった。
そんな事を考えながら今の状況を整理する。
自分にある記憶が正しければ、今の自分はユリア・フォン・アリーヌ。公爵家令嬢でこの国の王太子の婚約者、つまりは次期王妃だ。
そしてここは貴族のパーティーのようで着飾った貴族たちが皆こちらの方に視線を向けている。
と言っても全員学生なので全員貴族の出とはいえ多少はカジュアルなようだが。
そして最後に、俺の目のまえには何人かのの男性が一人の女性を守るように立っていた。男は全員とてもない美形で、女性は茶色のフワフワした髪を2つに結んでいて、ピンク色の目をしていた。
俺は二人の目の前の赤い絨毯に立っていて、金の刺繍が施されている豪華な赤いドレスを着てる。
うーん、でもこの場面に赤いドレスって組み合わせ、どっかで見たことあるんだよな………‥‥
え?、ちょっと待て、これってもしかして#一回目の人生__前世__#で妹がやってた乙女ゲームの世界じゃないか!!
てっ、これ断罪イベント!?
それに俺が来ているこの衣装にこの立ち位置は悪役令嬢だし!!
どうやら俺は10回目の人生で悪役令嬢に転生したようだ。
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