第29話 聖ルドルフ国 聖地

悪魔を倒した後に聖地まで騎士たちに着いてきた、ジンとメルは流石に疲れていた。


「なぁ、騎士さん達」

「はいっ! 何でしょうか!?」

「俺達今日は疲れたから話は明日でもいいか?」

「気が利かず、すみませんでした! 神に失礼をしました!」

「いや、神じゃないよ? 宿屋知らない?」

「はい! 教祖様がお使いになる宿屋があちらに……」

「いやいや! 普通の! あなた達が使うような宿屋で良いです」

「いや、でも!」

「いやいや! いいから!」

「はぁ。では、こちらです」


案内されるジンとメル。


――


「ここです!」

「ここも白いんですね?」

「はい! 聖地は光を表す白で統一されていますので!」

「なんか落ち着かねぇな」

「どうぞ! 中へ!」


――


「いらっしゃいませ! 騎士様のお泊まりですか?」

「いや、こちらの神様が……」

「あーっ! 私はジンといいます。今日は泊めて頂きたいのですが、部屋は空いてますか?」

「はい! 空いてございます!」


「じゃあ、泊まります。では、騎士さん達また明日」

「じゃあねぇー!」


「はっ!」


敬礼して去っていく騎士さん。


部屋に行ったジンは


「はぁ。疲れたぁ」


ベッドに倒れ込む。

目を開けると、朝だった。


――


コンコンッ


「ジーン! 起きてるー!?」

「起きてる! 今行くよー」


ガチャっと部屋を出るとメルが準備できた状態で立っていた。


「昨日はそのまま寝ちゃってさ、朝水浴びしたよ」

「疲れてたんだね!」

「あぁ。疲れてたみたいだ。朝ご飯食べよう」

「うん! 食べよー!」


宿の1階でご飯を食べていると。


「神様! お迎えに上がりました!」

「はぁ!?」


振り返ると昨日の騎士がいた。

周りの人に注目される。


コショコショ

『昨日悪魔を神が倒したと聞いたけど、あのお方が神様だったんだな!』

『お姿を見れるなんて、なんて幸運なんでしょう』

『まぁ、2人とも綺麗なお顔!』


「あはは! なんか、ホントに神様扱いだねぇ! 余程、ジンの魔法陣の光が神様に見えたんだねぇ!」

「笑い事じゃないぞ! メル! このままじゃ変に祭り上げられるぞ」

「まぁ、それで、アリア王国との関係が良くなるならいいんじゃないかなぁ?」

「ん~そう言われればそうなんだけど……」

「まぁ、教祖様と話してみようよ!」

「そうだな」


朝ご飯を食べ終わったジンとメルは騎士と合流し、教祖様の元へ向かうことにした。


「お待たせしました。行きましょう」

「はい! お願いします!」


敬礼をして先頭を歩く騎士について行くジンとメル。


「行こー!」


後ろから元気に付いてくるメル。


――


教会のようなステンドグラスのある建物に着いた。


入口にいた騎士に敬礼して声をかける。


「神様をお連れした!」

「通れ!」


中に入る騎士。

続くジンとメル。


奥に行くと、修道服のような格好をした女の人がいた。


「貴方が、悪魔をはらってくれたんですか?」

「まぁ、はらったと言うより、逃げられた感じですけどね」


すると、その女性が跪いた。


「あぁ神様。本当にお助け頂いてありがとうございます」


手を組みながらジンに拝む女性。


「おれは、神様ではありませんよ。ただの人です。」

「しかし、騎士達から聞きました。あなたには天からの光が降り注いでいたと」

「それは、おれの魔法で......」

「魔法でも、そんなことができるのはあなた様だけでしょう。使いの方を送ってくださり、神様よ、本当にありがとうございます」


そのまま祈る女性。

しばらく拝むと。


「失礼しました。私はこの聖ルドルフ国で教祖をしています。イザベラ・ルドルフと申します。神様、以後お見知りおきを」

「そんなに、畏まらないでくださいよ。神でもなんでもないですから!」

「一度! お願いがあります!」


顔がくっつきそうなくらい近づいてくるイザベラ。

ジンは慌ててサッと離れたが、顔が赤い。


「な、なんですか」

「騎士たちが見たという光る魔法陣をお見せして頂けませんでしょうか!?」

「い、いいですよ」

「本当ですか!? ありがとうございます!」

「こ、ここでですか?」

「はい!」


魔力を高めるジン。


「聖陣」


パァァァァァ


眩しい光を発する魔法陣が背中に出現する。

すると、ジンが影になり、イザベラ達から見ると後光に映るジンは、神のように見える事だろう。


「あぁ! 神よぉ!」

「おぉ。これは神様以外の何者でもない」


イザベラと騎士が目の前で跪き手を組み祈りを捧げている。

スゥっと魔法陣を消すジン。


「こんな感じですけど......なんか余計に崇拝されている気が......」


先程のような光景を見せられては、神を崇拝するものは神だと思っても仕方があるまい。

ジンよ。諦めが肝心である。


「あはは! 完全にジンを神様だと思っているわね!」


一人だけ大いに笑っているメル。


「神様! 神様はどこからいらしたのですか!?」

「えっ!? えっと、アリア王国だけど......」

「まあ! アリア王国から来たんですの!?」

「私共は、神と共にあります! 是非、傘下に!」

「あぁ。いや......じゃあ、同盟というのはどうですか!? 攻めませんよぉ、的なやつ」

「それでいいです! 是非、お願いします!」

「じゃあ、使者を送ってくだされば、大丈夫だと思います」

「はい! 聞いたわね?」


「はっ! すぐに手配します!」


イザベラからの強い要望で同盟を結ぶことになった、アリア王国と聖ルドルフ国。

ジンのおかげで次々に同盟を結ぶ国が増えている。

これは、悪魔もいい影響を及ぼしているように見えてしまうのが、不思議であるジンであった。


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