第4話

4年生の時に、松山の小学校に転校した。坊っちゃんの舞台の街なので、転校生にとても優しく、教室で転校のあいさつをしていたら、他のクラスの子たちまで、どんな転校生が来たのか、興味を持って、見にきてた。この小学校は月組、雪組、花組で、自分は花組になった。

学校から帰って、母さんと松山の街を歩いて散策してて、小学校のあたりで、自分と同学年くらいの女の子2人が、自分のことを見て、笑ってたから、もしかして、同じクラスの女の子かなあって思って、「むこうの女の子は、自分のことわかるけど、自分からは、女の子のこと、わからないね」って母さんに言ったら、「そうだね~」って言ってた。

次の日、学校に行ったら、昨日、街で会った女の子2人とも、同じ自分の教室にいたから、3人で顔を見合わせて笑った。それから、3人は仲良しになって、学校でも、いつも3人でいっしょにいた。ゆいちゃんと、美宇ちゃん。

何日かたった、ある日、1人の男の子が自分に近付いて来て、言葉では言わなかっけど、「君が転校して来たから、ゆいちゃんと、いっしょにいられなくなった」みたいなことを自分に向けて発してるように感じて、「自分は転校する前の事は知らないし」って思ったら、「そりゃそうだ」て感じで、いさぎよく、離れて行った。男の子は寅岡くんで、自分の転校して来る前の、3年生の時は、ゆいちゃんと仲良しだったみたいだ。自分は、ふわふわしてるけど、寅岡くんは、地面にしっかり足を踏み締めてて、実家の家業をいずれは継ぐような、後取り息子みたいな感じで、とても貫禄のある男の子で、見た瞬間に、ゆいちゃんと将来は結婚するんじゃないかって思った。ゆいちゃんの実家も呉服屋さんだから、寅岡くんと、めっちゃ似合ってる感じだ。

美宇ちゃんのほうは、クラシックバレエをやってて、将来は芸術で生きていきそうな女の子だ。でも、ゆいちゃんも、美宇ちゃんも、どちらも自分は大好きだ。

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