塩水と銅その他で作る製氷機

 東南アジアに木や竹、水牛の角等で出来た圧縮発火器が有る。


 空気ポンプや竹製の水鉄砲のような形状をしており、筒の中の大気を1/25に圧縮し、その時の熱で繊維に着火するのだ。


 水牛の角以外天然素材は戦国時代の日本でも揃っている。


 牛、馬、鯨は勿論鉄でも良い。


 目指すのは加圧ではなく減圧。


 一度に体積を25倍に増やすのが難しいなら水車か人力で複数回に分けて減圧。


 接合部に漆、可動部にアキノキリンソウやイチジクから採れるラテックスでパッキング。


 減圧ポンプの一部に筒の内外に錫メッキを施した銅管を用い、寒剤である濃度25%の塩水を通し減圧冷却。


 水温を-21℃付近まで下げ、銅管の外側の水を凍らせて氷を作るのだ。


 寺社仏閣の銅張りや大陸から伝わった湯たんぽは銅を1~2㍉以下にまで延ばし半田付けする事で湯たんぽのお湯漏れを防いでいた為熱交換器の銅管も作れる。


 更に塩化カルシウム(苦汁の内6%が塩カル)58.8と氷41.2の割合で混ぜれば-50℃付近まで下げられる。


 調湿機能付きの伝統的な土壁で熱交換器を覆い、銅製の放熱板を水冷化すれば熱効率が上がり、夏でも日産300kgの氷を生産可能である。


 当時の日本の水車の効率は落差を利用出来ず下端が川と接触する15%が上限だったが、欧州は30~50%。


 技術者を招聘出来れば氷の生産量は倍増する。


 明治時代、ボストン氷の値段がみかん箱サイズ(30㌢×40×25=3kg)1両した。


 国産天然氷はより安く、かき氷(200g)が一杯二文だった。


 氷室は基本的に雪が残りやすい標高の高い場所に設けられるので対象となる冷蔵品が競合しない。


 製氷機の氷は塩水の入手難易度から海産物の輸送に用いられるだろう。


 アンモニアはそもそも回収効率が悪いが製氷機で鮮魚の氷〆、アイスクリームの製造、冷蔵、冷凍等用途は多岐に渡る。


 椎茸の菌床栽培の通年生産は勿論油田、ガス田地帯ならブタン(-0.5℃)、イソブタン(-11.7)、苦汁から抽出するかソルベイ法を導入時に副産物として発生する塩化カルシウムを利用するならプロパン(-42℃)の液化も視野に入る。


 現代のフリーズドライ程では無いにせよ、水分量が多い桃等兵糧も従来の天日干しより軽量化出来る。

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