養命酒の原料とその産地一覧、考察
五十音順
淫羊藿(インヨウカク)
鬱金 (ウコン)
烏樟 (ウショウ)
桂皮 (ケイヒ)
紅花 (コウカ)
地黄 (ジオウ)
芍薬 (シャクヤク)
丁字 (チョウジ※英語のCloveからクローブとも)
杜仲 (トチュウ)
肉蓯蓉(ニクジュヨウ)
人参 (ニンジン※朝鮮人参)
反鼻 (ハンピ)
防風 (ボウフウ)
益母草(ヤクモソウ)
最初期(文禄年間:1592~1596)の調合書には現地(長野県)で採れる8種の素材を酒に漬け込み6年間寝かせると記されている。
淫羊藿は数種が国内に棲み分けながら生息。
ウコンは原種がインド。 変種がインドネシアやインドシナ等東南アジア原産で、日本には室町時代後期に入ってきたが本格化したのは江戸時代以降。
中国から琉球、薩摩を通じていた。
自生北限は鹿児島だが栽培北限は現代では宮城県栗原市のようだ。
戦国時代は現代より1.8℃低く、気温が1℃下がると緯度も1°下がるので茨城北部平野部が北限だが緯度が栗原市より3°低い養命酒製造地、駒ヶ根市の平均標高は標高676m。
標高が100m高くなると0.65℃気温が下がる事を考えると信州の現地栽培は不可能。
烏樟は黒文字の薬名で関東以西に分布※1。
桂皮……代用品を産するヤブニッケイが福島以南に分布※2。
紅花……5世紀に渡来、以後食用、染料、生薬として栽培。
地黄……中国原産。 長野、奈良、北海道等で栽培。
芍薬……同じく中国原産。 渡来時期不明なれど江戸時代から園芸品種としても栽培。
丁字……モルッカ諸島原産の為除外。
杜仲……奈良、平安時代に生薬として渡来。 1899年樹木として輸入された記録があるが1818年長崎の薬草園で栽培記録有り。
肉蓯蓉……中国や中央アジアの砂漠地帯に生えている為除外。
朝鮮人参……栽培に成功するのが吉宗の代の為除外※3。
反鼻……マムシを乾燥、粉末にした物。
防風……中国北部原産。 現代でも輸入に頼っている為除外。
益母草……日本全国及び南アジア以東に生息。
日本に生息又は養命酒製造前に渡来……淫羊藿、烏樟、桂皮、紅花、地黄、芍薬、反鼻、益母草。
気候が不向き……ウコン、丁字、肉蓯蓉、防風の4種。
製造後渡来……朝鮮人参。
栽培記録はあるが渡来時期不明……杜仲※4。
※1変種のオオバクロモジが東北以北、ヒメクロモジが本州南部に分布。
※2近縁種のニッケイが徳之島以南の南西諸島に分布。
本土には中国から享保年間(1716~1736)に輸入。
その他にもマルバニッケイが九州以南に分布。
漢方で桂皮はシナニッケイから採れる物を指し、現在国産のニッケイから採れる物は医薬品として扱われていない。
※3家光の代との説もあるが朝鮮で栽培に成功したのが18世紀の為根拠が弱い。
※4重複するが吉宗の代に薬草の栽培を奨励していたので、その頃に樹木として伝来していたと思われる。
以下参考資料
マンガで読むロングセラー商品誕生物語2
養命酒製造公式HP
長崎薬草園
http://www.ph.nagasaki-u.ac.jp/history/research/cp1/chapter1-4.html
生薬名の各wiki。
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