【絶賛販売記念】 優雅なメラニーの休日は突然終わりました
私はメラニー・バロー、男爵家の令嬢だ。
なあんだ、男爵家か! と言ってばかにするんじゃないの!
ラノベの中では男爵家は貧乏男爵家とか、身分の低い貴族とか禄なことは書かれていないけれど、基本的に男爵家はれっきとした爵位のあるお貴族様なのだ。
このエルグラン王国は人口2千万人の大国だが、その中で貴族の家はそんなに多くはないのだ。この国の人口の80%は農民だ。子供もやおじいちゃんおばあちゃんも含めてだ。次いで多いのは、兵士というか騎士や役人とその家族等も含めて、14%だ。この中には王宮の使用人から各領地の使用人や侍女下働き等も含まれている。残りが商人や職人で6%くらいだ。
大半の人はこのどれかになる。基本平民と呼ばれる者達だ。
そして、その上にいるのが貴族だ。
もっとも王国に3家しか無い公爵家とかは私達から見ても雲の上の存在だが、侯爵家が7家、伯爵家にしても50家しか無い。
子爵家は200あり、男爵家は500もあるのだが、全人口からしても少ないのだ。
我がエルグラン王国は一夫一妻制で基本は愛人等は認めていない。
愛人の子なんて以ての外だ。
まあ、そうはいってもいるのはいるが、唯一王室だけが王家の断絶を恐れて側室制度があるが、めったに使われていない。現国王陛下は側室を娶られたが、前王妃様が亡くなって今はその側室が王妃様だが……第一王子殿下のアドルフ様がその現王妃様のお子で第二王子殿下のシルヴァン殿下が前王妃様のお子だ。普通はこういう場合は王位継承争いが起こるものなのだが、現在このお二人は仲が良いし、基本はアドルフ殿下が王位は継がれる予定だ。
何しろその婚約者は私の友人のフランなのだから。
まあ、そこは良い。
それよりも男爵家の話だ。
我が王家は建国以来貴族の数は概ね760家前後とそんなに増えていないのだ。
各家子供の数は概ね2人から3人が多い。
ご貴族の一家は大体、当主夫妻に隠居したそのご両親と自分等の子供が2人ないし3人、そこに当主の弟夫妻が加わることもあるが、そこまでが貴族で、弟夫妻の子供からは貴族籍を外れるのだ。だから次男三男は必死に婿入り先を探して動くし、たまたま、弟として貴族籍に残れれば今度は子供の婿入り先、嫁入り先を必死に探すのだ。
大体、貴族の家族はいても10人まで。今の760家としても7600人しか貴族はいないのだ。全人口2000万人のうちの7600人、確率にして0.038%、すなわち大体3000人に1人しか貴族ではないのだ。
3000人に一人も貴族がいると言えばそうなのだが、それだけしかいないのだ。
だから一応私もその貴族の一員だから当然超ぐまれた環境にいるのだ。
だから貴族の報酬も多くて、普通に日本円で数千万円におよぶ。しかし、貴族の見栄を張るために、館や馬車、高価な衣装など考えると、結構運営も大変なのだ。下手したら赤字。領地に天災が襲いかかって、飢饉なんか起こるともう大変だ。下手な対応は一揆などが起こる。それを防ぐためにも領主はそう言う時は私財を投げ出して、領民に対処しなければならないのだ。
たまに対応が悪くて降爵や、爵位取り上げなどもある。貴族は貴族で大変なのだ。
まあ、余計な話が長くなった。
私は午後のひと時を優雅にロイヤルミルクティを飲んでいた。
まあ、庭園を見下ろす、テラスから飲むミルクティも美味しい。
お茶が紅茶というのは英国貴族みたいだ。このゲームの制作者もイギリス王族かぶれだったんだろう。私はどちらかというと、コーヒーのほうが良かったのだが。
我が家は代々、バロー商会を運営しており、結構裕福だった。特に私が前世の記憶持ちだったので前世の知識を使って化粧品何かを作成販売するようになってからは規模を拡大してきた。更に学園に入って、フランと知り合いになれてから、我が家の商売相手は増えて現在も規模を拡大中だ。
元々大陸内の隊商を使った公益が主だったのを、フランとの留学で南国にも知り合いが出来たので、現在シルヴァン第二王子殿下やフランの弟のジェラルド閣下と船を使った合弁会社を起こして南国貿易も展開し始めた。
当然私も父や兄を手伝って商会の仕事をしていた。
しかし、学期の間はフランの相手などをして、中々仕事が出来ずにいた。
何しろフランはこの学園の、いやこの国の、いや下手したら世界の最重要人物というか問題児なのだ。まあ、両親ともどもだが。
フランの両親は世界最大の帝国に喧嘩を売って皇帝を土下座させた人物なのだ。
その娘のフランは、一年生の一学期に帝国から示唆された侯爵の反乱を防ぎ、二学期はその帝国教の陰謀を叩き潰し、三学期は留学先のルートン王国に侵略してきたアルメリア王国を撃退、逆襲してその王国を転覆させたのだ。更には二年になっても今度は旧帝国の公国と組んだ王弟の反逆を防いだのだ。
凄まじい働きぶりだった。
しかし、周りに居る者にしてみたらたまったものではなかった。
フランに振り回された挙げ句にその後始末もまた大変だったのだ……
学期の間は仕事なんてしている暇なんて全然なかった。
でも、そのたまった分をこの夏休みに取り返したのだ。
問題児のフランは一学期の終わりに学園の校舎の大半を壊した責任を取らされて、フェリシー先生の補講になってしまったのだ。
その事を聞いてしょげた姿は本当に可愛そうだった。
今後は暴れる時には少しは考えて暴れてくれるはずだ。
まあ、フランが気にするようになったらフランではないのかもしれないけれど……
そして、手のかかるフランは夏休みが終わろうとしている今もフェリシー先生の補講中のはずだ。
えっ? 夏休みの補講は王太后様の登場で途中でなくなったんじゃないかって?
そう、無くなったにも関わらず、また復活したのだ。
私達は王太后様のお招きで離宮に遊びに行ったのだけど、途中でフランが出会った古代竜をペットにして連れて帰ってきたのだ。その古代竜がまた生意気なやつで、アドルフ殿下を足蹴にしたとかしていないとか。
怒った王妃様とフェリシー先生に呼び出されて、また、補講が始まってしまったのだ。
まあ、残り夏休みも1週間もないので、良いと言えばよいのだが、フランは宿題は大丈夫なんだろうか?
去年は夏休み終了の前日に駆り出されて手伝わされた記憶がある。
今年は貯めていないことを期待するしかない。
まあ、1年に転入してきた弟とシルヴァン殿下がいるし、アドルフ殿下もいるからそちらでなんとかしてくれるだろう。
そう思って折角優雅に紅茶を飲んでのんびりしている時にクラスメートのノエルが慌てて飛び込んで来たのだ。
「どうしたの、ノエル?」
「大変なの。フランが行方不明になったのよ?」
「行方不明にって、フランは今度は何をしたのよ?」
「それが良く判らなくって。いいからすぐに来て」
私は慌てたノエルに連れ出されたのだった。
それが怒涛の二学期の始まりだった。
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現在この物語の第一部、書籍化されて全国の書店で絶賛発売中です。
https://www.regina-books.com/lineup/detail/1056603/9532
まだお読みでない方は是非とも手に取って頂けると嬉しいです!
そして、今週末から第五部開始です。
行方不明になったフランはどこに行った?
危機に陥るフラン。そして、その婚約者のアド。
果たして二人の運命や如何に?
請うご期待!
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