【書籍発売記念】離宮に行く途中で化け物が現れました。
本日から電子書籍が発売されました。書籍よりも少し安いので、そちらの方が良い方はどうぞ
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私達クラスメート40名とおばあちゃん、おばあちゃんの連れてきた騎士やメイド達の合計70名は一路、離宮のある高原に向かっていた。
「らんら、らんら、らん!」
私はとてもご機嫌だった。
何しろ嫌だったフェリシー先生の補講がなくなったのだ。その上、クラスメート達と一緒に離宮に旅行に行けるのだ。言うことはなかった。
先頭には騎士たち5騎が先導して、その後に私達女性陣の乗った10頭立ての馬車が続いて、真ん中におばあちゃんの馬車と騎士10騎、その後は男性陣の馬車2台に卒業後は騎士や魔術師目標の10人のうちの5人が騎乗して、最後に5騎の騎士が続く大部隊だ。
「でもフランソワーズ様は凄いですわ」
伯爵令嬢のジャッキーが感心したように言ってくれた。
「えっ、何が?」
私は聞いていた。
「王太后様とお親しいのがですわ」
「本当よね。がさつなフランが礼儀作法に厳しいと有名な王太后様と親しいなんて、信じられないわ」
相も変わらずメラニーは辛辣だ。
「おばあちゃんは私には優しいのよね」
私が言うと、
「そこが良くわからないのよね。礼儀作法の全然なっていない、あんたが王太后様と親しいなんて、絶体に何かおかしいわ」
「それは人間的に素晴らしいフラン様ですから、王太后様もフラン様には甘いんです」
ジャッキーは言ってくれるんですけど、
「それって私が礼儀作法がなっていないと言うことなのかな?」
って聞いたら、
「それ以外に何があるのよ!」
メラニーに一言でかたづけられてしまったんだけど……
そんなことはないなんて絶体に言えなかった。
「親からは絶体に王太后様の機嫌を損ねたらダメよって念を押されたんだけど」
「あなたの所もそうなの? 実は私のところもよ」
貴族の子らが皆、言うんだけど、
「大丈夫よ。機嫌損ねたら絶体に私がおばあちゃんに取りなしてあげるから」
「さすがフラン様ですわ」
「なんか信じられないわ」
「本当に」
メラニーとかノエルとかが半信半疑で言ってくれるんだけど。
「そうか、判った。あまりにもフランが礼儀作法が出来ないから、王太后様も呆れられたのよ」
メラニーが今気づいたとばかりにとんでもないことを言ってくれるんだけど。
「いや逆に王太后様には新鮮だったんじやないか」
「野蛮人みたいな礼儀知らずな者が貴族令嬢にいて」
アルマンとかバンジャマンまで言ってくれるんだけど、そこまでひどくないわよ!
実は美味しい匂いにつられて、気付いたらおばあちゃんの膝の上で食べていたのが現実なんたげど……、そんな事言ったら絶対にまたメラニーらに馬鹿にされる。
私はその事は黙っていようと心に決めたのだった。
馬車の車列は山道をゆっくりと登っていた。
ここまでは結構広い街道だったが、流石に山道は道も狭くなり、馬車同士がすれ違うのは難しいので、2騎の騎士が先導していた。
彼らは対抗してくる馬車を途中で待たせるために先導しているのだ。
この車列には最優先の通行権があった。
まあ、王太后様御一行だから当然なのたが。
当然のことなんだけど、私達もついでに超VIP待遇だった。
でも、何か通行する馬車の数が少ないように思ったんだけど、私の気のせいだろうか?
今は夏。貴族たちを始め多くの人々が避暑に行くのが風習だと思うのだけど。
陛下と王妃様始め王宮関係者は、王太后様が離宮住まいし始めてから避暑地は忌避していたが、庶民達は関係ないはずなのだ。
「何か通る人とか馬車が少なくない?」
ノエル達も言い出した。
「そうだな。去年来た時はもっと人通りがあったような」
アルマンが言ってくれた。
「そうよね。毎年避暑には行くんだけど、何か今年はえらく少ないような気がするわ」
メラニーまで言い出した。
流石に商会を運営するメラニーの家は金持ちだ。高原にも別荘があるみたいだ。
我が家は高原に別荘なんてあるわけ無かったが。
「何言っているのよ。あんたところは領地にでかい城があるじゃない」
私の言葉にメラニーが言ってきた。
「そうよ。白鳥城として超有名じゃない」
「うーん、まあ、見た目だけはね」
私はノエルに微笑んだ。
まあ、魔の森と国境を接するところには白鳥城と呼ばれているどでかい城があったが……
大きさだけが取り柄だ。
城自体は古くなっていて別名お履け屋敷と呼ばれているんだけど。
良く、ジェドらとお化け屋敷探検をやって遊んでいた。
中で肝試しが出来るのが唯一の自慢かもしれない。
でも、標高が上がるに連れて、空が曇ってきたんだけど。
「これは一雨くるわね」
私はのんきに呟いた。
「でも、この雲、なんか、すごくない」
ノエルが言うので、よく見ると本当に真っ黒だった。
「何か化け物でも出てきそうな空ね」
私が空を見て言うと、
「ちょっとフラン、脅すの止めてよ」
ノエルが私を睨んできた。
「そうよ、フラン。冗談にならないわ」
ソレンヌが文句を言った時だ。
ギャオーーーー!
何か咆哮する声が聞こえたのだった。
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フランと王太后の初めての出会いは書籍のおまけでレジーナブックスのネットページにあるので、良ければ読んでみて下さい。
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