先生方にすべてバラされてしまって私はまた一から友達を作る作戦を考えました。

私はもう絶体絶命だった。


「先生、そこの平民の女が王女殿下に掴みかかっているのです」

確かレアル伯爵家の令嬢だ。伯爵家の令嬢ならば私の顔くらい覚えておきなさいよ・・・・と私は思ったけれど、それで私の正体をバラされても嫌だった。もっとも私は平民のふりをしていたので私の身分を知らないのも当然だったけれど。


「セナイダさん。掴みかかっているのはどうみてもシルビア殿下ですし、フランソワーズさんは平民ではありませんよ」

アチャーーーー、イザベル先生がバラしてくれた。


私は青くなった。でもさすがにイザベル先生の口を塞ぐわけにはいかなかった。


「はい?」

伯爵令嬢はぽかんとしている。


「フランソワーズさんは隣国のエルグランのルブラン公爵家のご令嬢です。エルグランの王太子殿下の婚約者でもいらっしゃいます。あなたこそ、口には気をつけなさい」

イザベル先生は全部バラしてくれたのだ。それもクラス全員の前で・・・・


「も、申し訳ありません。ルブラン公爵家のご令嬢とはつゆ知らず、本当に失礼なことを申しました」

伯爵令嬢はもう真っ青だった。平身低頭している。


そして、それはクラスの皆も同じで、

「ウッソーーーー、フランって公爵家のご令嬢だったの」

「そ、そんな」

ルフィナ達平民のみんながまず真っ青になった。


「も、申し訳ありません。わ、私、私、何も知らずに」

イネなんてもう涙目で、今にも死んでしまいそうなほど真っ青なんだけど・・・・


まあ、そんなので怒らないから・・・・


それよりも、皆の反応を見て、私も落胆していた。


まただ。また、邪魔されてしまった・・・・


今度はアドではなくてフェリシー先生らだけど。


「フェリシーさん。見てみなさい。あなたがまた、訳のわからない平民のフリしているからこのような事態になったのです。だからちゃんとAクラスに入りなさいって私は口が酸っぱくなるほど言いましたよね」

「殿下。授業が始まっているにも関わらず、なぜ、このようなところでフランソワーズさんと喧嘩しているのです。あなたは本来ならば皆さんの見本となる行動を取らないといけないのに・・・・」

それから二人のお叱りの時間が授業中も延々と続いたのだ。


身分をバラされるわ、怒られるわ私は散々だった。





「という訳なのよ。どうしてくれるのよ。ヴァン」

あの後、私はヴァンとジェドが住んでいる邸宅をメラニーらと突撃訪問していた。


「えっ、いや、義姉上。それは先生方に文句を言ってくれないと。それとシルビア殿下やディオにも前もって口止めをしといて下さいよ」

ヴァンが言うんだけど。


「なんでよ。あなた達二人が口止めはうまくしてくれるって言ったじゃない」

「いや、姉上。僕らに出来ることは限られていますよ。シルビア殿下やディオさんは姉上と同級生じゃないですか。そこは姉上がちゃんとして下さいよ」

「ええええ! あんたらを信頼していたのに」

私はまだぶーたれていたが、


「でも、フラン、それはあなたが悪いんじゃない。殿下方はちゃんとここまで身分を誤魔化してくれたんだから」

メラニーが何故か二人の肩を持つんだけど。解せない。


「そんな事言っても、せっかくここまでうまく行っていたのに」

諦めきれない私が言うが、


「まあ、どのみちいずれはバレたんだから、今大切なのは今後どうするかよ」

メラニーがもっともなことを言う。


「そらあそうだけど・・・・」

私がトーンダウンした。


「義姉上、そんな義姉上のために、僕はハッピ堂のブリンを冷蔵輸入しました」

そう言うとヴァンがハッピ堂のプリンを箱から取り出してくれたのだ。


「何を言う。冷蔵装置を手配したのは俺だろうが」

「ハッピ堂のプリンを手に入るようにしたのは俺だ」

二人が言い合いを始めたんだけど・・・・


「えっ、本当にハッピ堂のブリンを冷蔵輸入してくれたの?」

私はそのプリンを見て喜んで言った。


「そうなんです。風味を損なわないように、実験するのに3週間かかったんですよ」

顔を私の方に向けて自慢してジェドが言ってきた。


「有難う。ジェド、さすが弟よ」

私はジェドに抱きついていた。


「義姉上、プリン自体を手配したのは私ですよ」

自慢してヴァンが言うので、こいつも抱きしめてやる。


二人は嬉しそうに笑ったくれた。


「ウホンウホン」

アルマンが何故か咳をするし、

「俺は見なかったことに」

オーレリアンが何か言っているんだけど。


取り敢えず、40個のハッピ堂自慢のアラモードプリンで、私は皆を懐柔することにしたのだ。


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ここまで読んでいただいてありがとうございます。

果たしてプリンで仲良くなれるのか?

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