大問題を起こした責任をとって礼儀作法の授業を2倍やるように言われました
それからが大変だった。
私は被害者のはずなのに・・・・そうだ。モンソン先生に無理やりやらされたのだ。
なのにだ。
「フランソワーズさん。あなたは陛下からくれぐれも本気を出してはいけないと言われていましたよね」
「はい、だから、本気は出していませんよ。少しだけやっただけで」
「少しでも本気は本気です。あなたが少しでも本気を出せはこんなちゃちな学園の訓練場がこうなるのは判っていたでしょう」
「いや、フェリシー先生、ちゃちというのはさすがに」
学園長が横から否定するが。
「ちゃちだから壊れたんでしょうが」
フェリシー先生は一顧だにせず言い切ってくれた。
「そもそも学園長、フランソワーズさんは危険だからくれぐれも剣術と魔術はさせないようにとはっきりとお願い申し上げましたはずです。何故、やらせたのですか?」
フェリシー先生の怒りが学園長に向かった。
「いや、それは私ではなくて、モンソン君、何故だね」
慌てた学園長はモンソン先生に振っていた。
「はいっ? 私は学園長からは、公爵令嬢はお立場もあるから無様になるような真似はさせるなと、だから素振りくらいは良いかなと」
モンソン先生が憮然として言った。
「ああああ、全然伝わっていないではないですか! モンソン先生、あなた、見てわからないんですか。フランソワーズさんは無敵です! 無敵。あなた方が束になったところで敵わないんです」
「いや、そんなことは無いでしょう」
むっとしてモンソン先生が言うが、
「じゃあ、どこに素振りだけで、訓練場を壊せる人がいるんですか。あなたは素振りだけで訓練場を壊せるんですか?」
「いや、それは・・・・」
さすがにモンソン先生は反論できないみたいだった。いや、そこは少しくらい反論してほしかった。
「学園長は出来るんですか?」
「出来るわけないでしょう」
「騎士団長でも無理でしょう」
「いや、ビベイロ君の御父上ならやってくれるでしょう」
モンソン先生が反撃してきた。
「えっ、そんな強い方がいるんですか? 是非ともお手合わせ願いたいです」
私は喜んで言った。エルグランでは私とまともにやり合えるのは父と母くらいで、二人とも私では相手にならないくらい強いのだ。私はいつもコテンパンに負けていた。同じくらいの力の者がいるのならば是非ともやってみたかった。
「何を言っているのですか。フランソワーズさん! あなたこの国の王宮の訓練場まで壊すつもりですか」
そこには怒髪天のフェリシー先生がいた。
しまった。また、余計な事を言ってしまった。あとで頼めば良かったのだ。
「何しろこの子は五歳の時に王宮の訓練場を破壊したのです」
「五歳の子に破壊されるなどさすが見目だけのエルグラン王国の訓練場ですな。余程ちゃちだったのでは」
反撃の機会を待っていたのだろう。モンソン先生が思わず言ってくれた。ああ、もう、フェリシー先生に茶々入れると、話が長くなるのに。
「そうですわね。その子にちょっとだけ本気で壊されたこの学園の訓練場と同じですね」
「な、何だと」
「まあ、モンソン君、ここは抑えて」
怒り狂うモンソン先生の横で学園長が抑える。
「何しろこの子は第一王女殿下の近衛騎士のダミアン様を一瞬で弾き飛ばしたのですよ」
「そんな訳ないだろうが。ダミアン様は海賊を退治された英雄だぞ。お前らも彼に助けてもらったのだろうが」
「あなた、本当に教師なの?」
「な、何だと」
「海賊どもの調書を読んだのかと聞いているの?」
「そんなの捜査関係者でないから読めるわけないだろうが」
「ふん、学園長に手を回してもらって見れば良いわ」
馬鹿にしたようにフェリシー先生が言うんだけど。
あの海賊ども余計な事を言っていないよな? 私は不吉な予感がした。
「なんでも、彼らは山猿の叫びをあげながらやってきた女にコテンパンにやられたそうですわ。海だから、海猿かもしれないけど。そんな馬鹿なことをする人間は私は一人しか思い付かないんですが」
フェリシー先生が私を睨み付けて言いきったのだ。
「・・・・」
ヤバい完全にバレている。私はとてもマズイ所にいるのに気付いた。
あいつら山猿とは何だ。山猿とは! でも、海猿って昔カッコいい映画があったような気がするし、まだましなんだろうか
「そんな馬鹿なことがあるか」
「気になるならばダミアン様に確認されればいいわ。私が問い詰めましたら、あっさり吐かれたんですけど」
フェリシー先生が不吉な笑みで私を見るんだけど。
やばい、一番知られてはいけない人に知られてしまった。
あのボケ、なんでこの人に言うかな!
私は完全に切れていた。
「彼女が本気になったらこんなちゃちな学園なんて一瞬で灰燼と化します。だから、魔術の先生にもくれぐれも彼女に魔術だけは使わせないようにさせてくださいね」
「でも、先生、私それならその授業の間何をしていたら良いのですか」
私は思わず聞いてしまった。本当に馬鹿だった。
「そうですね」
フェリシー先生は少し考えて、そして嬉々として顔を上げたのだ。
「礼儀作法の補講を行いましょう」
「はい?」
私は真っ青になった。いや、ちょっと待って、なにそれ、それでなくても二時間も礼儀作法の授業があるのに、補講って何! 最悪の授業が二倍になるじゃない。
「私の目の届く範囲にいればあなたもこれ以上この学園を壊すことはないでしょう」
フェリシー先生がとんでもないことを言い出しいたんだけど、それだけは私は絶対に嫌だった。
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