始業式で皆に紹介してもらいました
始業式は一同会してグランドに整列して行われた。
エルグランでは講堂で行われていたので、グランドでの始業式は初めてで、私は少しだけ嬉しかった。
今世は前世と違って、病気で寝込む事がほとんどなくって、前世の記憶が戻って知恵熱で寝込んだ時は、心配した両親が領地から飛んで来て大変だったそうだ。私はこの国でもせっかく健康体なのだから思いっきり青春するつもり満々だった。
でも、何処でも同じで学園長の挨拶は長かった。
まだエルグランの学園長と違って、私を見て、問題起こすなオーラ全開で話さないだけましだったけど。
そう後でメラニーに呟いたら、それも時間の問題よ、ってあっさり言われてしまったんだけど、いや、私は問題起こすつもりは毛頭ないから!
誰も信じてくれないけど・・・・
思わず欠伸しそうになったら、フェリシー先生が睨み付けて来たので、慌てて引っ込めた。
その後、生徒会長で3年生のフェリペ・ルートン第一王子が挨拶に立ってくれた。
アドがしつこいくらいに言ってた、見目麗しい女たらしの王太子がこれか。まあ見た目はアドの方が良いように思うけど・・・・。
そう言ったら、それは欲目よってメラニーが不敬な事を言っていた。不敬の塊のあんたが言うかって後で言われたけど。
私はそこまで酷くないはずだ。
「今回はエルグラン王国から高位貴族のご令嬢が2人もいらっしゃって・・・・」
王子がキョロキョロ私たちを見回していた。
私を探しているみたいだ。
私はますます俯いた。アドには絶対に王子とは話すなって釘を刺されているんだけど、私も王子なんかに話しかけられて身分がバレたら平民達が話してくれなくなるので、王子なんかとは話したくない。
私がその話題の人物よ! オーラ全開のピンク頭の背中を押し出してやった。
「えっ、私ですか?」
周りを見回して嬉々としてピンク頭が王子に近付く。
「いやまあ、聖女様も来て頂いて、私はとても嬉しい。皆さんを我がルートン王国は国をあげて歓迎します!」
王子はやっと私を探すのを諦めたみたいだった。
「今歓迎のお言葉を頂いた王太子殿下を始め、ルートン王立学園の皆さん。私達エルグランの生徒を留学生に迎えて頂いて有り難うございます!」
グレースが改めて挨拶に立った。
「私達10名はルートン王国の長い歴史の中から産み出された様々な物を学ばせて頂くと供に、今後両国が手を携えていけるように尽力出来たらと考えております。この一学期間、宜しくお願いします!」
グレースが無難にまとめてくれた。
そう、私はたくさんの友達を作るつもり満々だったのだ。
その始業式の後に、クラスに分かれて、私達はE組で紹介されたのだ。
私達のE組の担任はエルグランのベルタン先生みたいなカバ先生ではなくて、気の弱そうなシリノ・ウェスカ先生だった。
「では皆さんを前にして、エルグランからの留学生の皆さんに、自己紹介をしてもらいます」
「アルマン・ルールです。父はエルグランで騎士をしていて、自分も騎士を目指しています。ただ、クラスには化け物みたいに強い奴が居るので、将来はそいつに勝つことが目標です。宜しくお願いします」
アルマンが挨拶したけれど、私のクラスに化け物みたいに強い奴なんていたっけ?
そうメラニーにこそっと聞いたら白い目で見られたんだけど、なんで?
「ふんっ、化け物みたいに強い奴って、それはエルグランの基準で考えてだろ」
いかにも馬鹿にしたように、貴族と思しき男が言ってくれた。周りの奴らも同調しているんだけど。確かに、アルマンの言う化け物みたいに強い奴って見たこともないけど、コイツラの態度もムカつく。
「オーレリアン・ブルボです。お歴史のあるルートンの方々と繋がりを作ってこいと将来の上司に言われてきました。宜しくお願いします」
「ほおおおお、その上司も気が利くね。まあ、俺達が好を通じてやってもいいがな」
その声に半数はどっと笑った。
また、脳天気な男が言うんだけど、コイツラ本当に礼儀というか、野次らないとやってられないのか。
私が白い目で先生をちらっと見ると私の正体を聞いている先生は慌てたみたいだ。
「セブリアン君、流石に留学生に失礼ですよ」
慌てて注意しだした。
「へいへい、黙っていますよ」
何かめちゃくちゃ不遜な態度なんだけど。准男爵家と思しき奴らの半分くらいの態度も悪い。
何々、早速喧嘩する? 雨降って地固まるって言うけど、やった方がいい?
ワクワクする私を白い目で見てメラニーが話しだした。
「皆さんこんにちわ。留学生のメラニー・バローです。私は家が商会やっていて、貴国の魔道具に興味があって来ました。あと、今回の留学には我が学園随一の問題児が来ているので、とある方より、くれぐれも問題を起こさないように見張るようにと言われて来ました」
「ほうううう、余程のじゃじゃ馬と見えるな。そいつは」
男がやじを飛ばした。
「あらあら、この学園ではきちんと人の話を聞くっていう、常識の基本も出来ていない貴族の方がいらっしゃるの?」
メラニーが馬鹿にしたように言った。
「な、何だと、この女」
「セブリアン君、いいかげんにしなさい。学園長に言いつけますよ」
男は流石に学園長の名前には黙ったみたいだった。
でも、メラニーが壇上を降りて席に向かおうとした時に、前の男が足を出すのが見えた。
危ないと私が叫ぼうとした時だ。
「ギャーーーー」
男の悲鳴が聞こえた。
メラニーのハイヒールに思いっきりその出した足を踏まれていたのだ。
「ああら、ゴメンナサイね。邪魔なところに足があるから思わず踏んじゃったわ」
メラニーが澄まして言う。
「お前、良くもドミンゴに」
セブリアンと呼ばれた男がメラニーに掴みかかろうとしたその手を私が捻り上げた。
「痛ててて」
男は大げさに悲鳴を上げていた。
「座ってちゃんと聞いていなさい」
私が言うや、思いっきり押してやった。
男は友達の上に突っ込んで行った。
「皆さん、こんにちわ。エルグラン王国から来ました平民のフランです」
私の声に担任がぎょっとするのが見えた。
「せっかくこの国に留学に来れたので、皆さんと仲良くしたいです。剣も少しだけ嗜んだ事があって、この国に魔道剣ってのがあるって聞いて、今から試しに使ってみたくてワクワクしています。宜しくお願いします」
私はニコッと笑ってやった。それを見た私が腕を捻り上げた男も赤くなっているんだけど、なんでそんな反応なの? 私、何か変なこと言った?
貴族の女どもがそんな私を睨んできたのも
よく判らなかったが。
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