洞窟探検5 教皇を殴り飛ばしました
後少しで完結です。しばしお楽しみ下さい。
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バシンッ
「ギャっ」
私の目の前でベンが教皇に鞭打たれていた。
えっ?
私の前に飛び出して教皇に鞭打たれていたのだ。何故?
「ベンヤミーン殿下、どうされたのですか」
教皇は驚いて聞いていた。
「止めろ、フラン姉さんに手を出すな」
ベンが叫ぶ。
「帝国の皇子殿下のお言葉とは思えませんな。そこをどいていただきませんかな」
ニヒルな笑いをして教皇が言う。
「いや、どかない。フラン姉さんを鞭打つならば俺を倒してからやれ」
ベンが言い切ってくれた。
おーーーー。ベンも言うことを言えるようになったではないか。あの泣き虫ベンが・・・・
まさか、あの泣き虫ベンに庇ってもらう日が来るなんて思ってもいなかった。
私は少し感動した。
「ええい、どけ!」
しかし、ベンの言葉は全く教皇には響かなかったようだ。
次の瞬間、教皇はベンを鞭打っていた。
「ギャッ」
ムチがベンの顔に振り下ろされて、ベンが弾き飛ばされた。
「貴様、俺にムチを浴びせるとは」
「ふんっ、ホルムなど3流国の王子などどうでも良いわ。片腹痛い。我と貴様の地位など、どちらが上か一目瞭然だろう」
そう言いながら教皇は更にベンを鞭打った。何度も。
その度にベンの衣服が千切れ、血潮が飛ぶ。
「ふんっ、我に物言える立場であるなど、思い上がるなよ」
そう言うとベンを教皇は蹴り飛ばしていた。
「貴様も思い知るが良い。我に逆らった愚かさをな」
教皇は不気味に笑ったのだ。
「食らえ!」
そう言うと教皇は私に鞭打ってきたのだ。
バチッ
しかし、ムチは私には届かなかった。
そのムチは私が張った障壁の前に弾かれていたのだ。
「えっ」
教皇は唖然としていた。
何が起こったか理解していなかったのだ。
「おのれ」
もう一度鞭打つ。しかし、それはまたしても私の障壁に阻まれた。
「ま、まさか、ここでは、我が宗派の呪いの暗黒魔術で魔術は使えぬはずだ。何故だ」
教皇は唖然とする。
「ええい、これでもか、食らえ」
教皇は何回もムチを振り上げて打ち付けてきた。
しかし、当然ながら障壁はびくともしない。
その愚かな姿を見ながら、私は弟分のベンが鞭打たれてプッツン切れていた。
片腕を腕を思いっきり引っ張る。
バキっ
一瞬で天井の拘束具が抜け落ちてきた。
「ギャッ」
その瞬間私を闇魔術で拘束していた男が頭を抱えて吹っ飛んでいた。
そして、もう片方も。
バキッ
「ギャッ」
もう一人の男も吹っ飛ぶ。
そして、私は地上に降り立っていた。怒りのオーラ全開で。
「そんな馬鹿な、何故、貴様が動ける?」
私の前には青くなった教皇がいた。
「こんなちゃちな闇魔術で私を拘束できるなど本気で言っているの?」
私は完全に見下していた。
そう、私は世界最強魔術師の破壊の魔女の娘なのだ。
帝国最強魔導師を瞬殺したのは私だ。そして、その私が怒り狂っていた。
「まだ、あんたにはノエルに対してしてくれたことについて謝罪も受けていなかったわね」
私は教皇を睨みつけていった。
「ええい、何をしている。こんな小娘やっつけてしまえ」
教皇の言葉に周りにいた黒ずくめの男達が闇魔術の詠唱を唱える。
真っ黒なおどろおどろしい黒い塊が四方八方から私に襲いかかった。
私はミラーで反射する。
それは魔術を放った術者たちを直撃した。
「ぎゃーーーー」
黒尽くめの男達は自らの放った闇魔術の直撃を受けて、のたうち回った。
私は目を怒らせてゆっくりと教皇に近づいた。
「いや、待て、待ってくれ」
教皇は慌てて後ずさった。
横に控えていた騎士らしきものが切りかかってくるが避けて鉄拳をその顔に叩き込んでやる。
もう一人も。
教皇を守るものは誰もいなくなった。
教皇は腰砕けになっていた。
怯えた顔で後ろに下がろうとする。
その黒装束の端を私は踏みしめた。
「ヒィィィ」
教皇はそれ以上、下がれなくなった。
「わかった、悪かった。今までのことは全て謝る」
「何言っているのよ。あんたらのやったことは謝って許されることではないわ」
私は胸元を掴むと教皇を持ち上げていた。
「いや、頼む、許してくれ」
「そう言うことは地獄で閻魔様の前で謝れ」
私はそう言うと思いっきり教皇を殴り飛ばしていた。
ズカーン
巨大な音ともに教皇は洞窟に突き抜けて飛んでいった。
そして、次の瞬間には大音響とともに洞窟は崩壊したのだった。
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