未確認な「やま田」とかいう存在のせいで平凡な人生終わりました。とりあえずコーヒー飲ませてください。
南方 華
Case.1 探偵なのに盗むんだゆ
Case.1 探偵なのに盗むんだゆ ①
今年の東京は暑い。
41℃というのは、いつの年だったかに計測した39.5℃をはるかに上回るハイスコアなわけで、当然俺が今までの人生で体験したことのないレベルだ。
外を歩こうもんなら、5分ともたず制服のワイシャツは恥ずかしくなるくらい汗でじっとりとしてしまうだろう。
「たあ! にゅあ! きゅあ! ほわっ! ゆ! ゆ!」
そんな俺、つまり
しかも、
「にゃあ! みゅあ! むみゅあ! ふほっ! へあっ! ゆ! ゆ!」
すぐ、左で床を
だが、現実を直視しなくてはならない。
先程、事務所に入った瞬間、
そこに居たのは、軽やかに前後にステップしつつ、左手にある
動くたびに
その正体を知ってはいるが、あえて見た目と声だけで判断すると、小学校高学年から中学生くらいの女子といったところだ。
中身を知っていてもそう断言出来ないのには様々な理由があるのだが、それは
フェンシングの動きを見ながら、老紳士がゆったりとした口調で話しかけてくる。
「精が出ますな」
「そう、ですね。でも、今日はどうしてフェンシングなんでしょうか」
こうたずねてしまうのも無理はなかった。
なぜならば、
かと思ったら、昨日は壁掛け大型テレビで魔法少女が活躍するアニメをただ視聴しているだけ、という穏やかな日もあるわけで。
とにかくその日にならないと、その行動は読めない。
いや、当日その瞬間でも読めはしないのだが。
「やま田様には、やま田様のお考えがあるのです」
「あるんですか、こいつに。いや、ヨーグルさんが
目の前でフェンシングに
一方で、先程から動きを大きく変え、ジャンプし空中で一回転ひねりを加えて突きを繰り出したり、くるくると後方二回転宙返りを決めて
もし、フェンシングに技の芸術を競う種目があれば、オリンピックで金メダルが獲れるのではないか。
そんなことを期待してしまうくらい、人間離れした数々の動きを見つつ、だが、俺はそれを全力で否定した。
このやま田とかいう存在は、およそ地球の競技に参加する資格がない。
なぜならば、――宇宙人なのだから。
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