A国の物語

第2話 

この物語に出てくる主張は全て登場人物のものであり、作者のものではありません。

私はいかなる優生学的な考え方にも人種差別にも反対します。(この先の内容は不快に感じる方もいるかもしれません。苦手な方はご遠慮ください。)



A国は戦争に負け国民は多額の賠償金に苦しんでいた。そこに現れたのがM氏である。彼は現在の苦労を国内に住む裕福なX人の陰謀せいだとして国民からの熱狂的な支持を得た。



首相官邸 初めての閣議の席上にて

(議事録作成:内閣書記長F)


首相

「それでは閣議を始める。まずはX人の撲滅について警察長官から」

警察長官

「我が国からX人を追い出し、祖国の名誉を取り返すための崇高なる計画を実行できることを嬉しく思います。

まず、軍と協力して国境を封鎖し、その後警察、軍、市民が一体となってX人を発見して逮捕します。例の方が施行されれば善良なるA人は必ずや協力することでしょう。

次に逮捕したX人のうち、働けるものは強制労働所へ、働けぬものは死刑に処すことを考えています。」

内務大臣

「X人は陰謀によってこの国を乗っ取り滅ぼそうとした民族ですぞ。働けるものも含めて全員を処刑すべきです。」

法務大臣

「賛成です。そもそもX人が生きていたら例の法に抵触してしまいます。」

首相

「まあまあ二人とも。この国が発展していくためには多くの労働力が必要だ。X人でもなんでも使えるうちは使っておこうじゃないか。

それに死んだことにしておけば例の法には触れない。それに強制労働所は人目のつかないところに作るつもりだ。」

内務大臣

「わかりました。ですが奴らはずる賢い民族。労働所の警備は厳重に行ってください。」

警察長官

「勿論だ。それに労働所内ではX人を繁殖させるつもりはない。時間が経てば全滅するはずなので安心してほしい。」

首相

「次は奴らを倒した後の話だ。軍務大臣。」

軍務大臣

「X人が我が国民から不当に搾取した財産は当然差全て接収する。その金を使って武器を揃えて軍を増強し、隣国であるB国のY平野を奪い返します。元々かの平野は我が国のもの。住民たちも納得するでしょう。」

外務大臣

「我らの奪還に反対したり抵抗したりする住民はどうするのです?」

軍務大臣

「X人と同じように処理するつもりだ。」

外務大臣

「なるほど。それならば安心ですね。」

首相

「そろそろ閣議を終わろうとしよう。明日は我が国を再び偉大な国とするための大きな第一歩を踏み出すことになるだろう。各人今日はよく休むように。

解散」


翌日X人の生存を禁じる法律が可決された。

A国の歴史は大きく動いたのである。





この物語に出てくる主張は全て登場人物のものであり、作者のものではありません。

私はいかなる優生学的な考え方にも人種差別にも反対します。









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