永遠少女は規格外の魔道士へと変貌する

神坂蒼逐

永遠少女の発覚

prologue 永遠少女、魔法を知る。

 また、死んでいく。私の大切な人たちが。

 老けない体、尽きない生命。この言葉に釣られてしまった私はどれだけ愚かだったのだろうか。

 最初は嬉しかった。死なない。ただそれだけで気分を跳ね上げさせるのには十分すぎた。

 でも、私は後悔を募らせていく。

 私が老けていかないことをいいことに私を痛ぶらせ、時には離れていき、そして目の前で朽ちていく。そんなことを何度も、何度も——。

 私はもう大切な人を失いたくない。誰かに認められなくたっていい。

 ——私が、未だ私であるために——。

 でも、私は離れられない。まだ、離れられない。せめて、私の親友が息を断つまで——。


 親友をこうやって失ってしまった私はなんて醜い姿を晒したのだろうか。泣き喚き、現実逃避さえも厭わないようなことを考えていた。なんと愚かだったのだろうか。

 私は今まで身を置いていた国から飛び出した。

 もう人とは関わらない。関わったら、また人恋しくなるから。だから……。

 だから、私は誰も来ない魔境のその奥。誰も到達できないような場所に、住まうことにした。

 ここなら誰も来ない。そう考えていた。正直このあたりに住んでいるのは魔力溜まりの影響を存分に受けた魔獣ぐらいしかいない。

 そして私は充満した魔力で紅く閉ざされた空を見上げていた。

 すると——。

『君は、何を得たい』

 そんな幻聴が聞こえてくる。疲れからだろうか。

『君は知りすぎた。故に神の力を行使することが許された』

 わからなかった。今更私に何を与えてくるのだろうか。私に何を与えたって結局は無意味に終わるだけ。ただそれだけなのに……。

『魔法。君はその力を得るにふさわしい器をしている』

 魔法、か。どれだけ生きていてもこの世界の魔法の技術はちっとも進歩しないけど、なんでだろうって考えたことがあったっけ。

『極めよ。その力を極め、世界に己の力を見せつけろ。それが、君の成すべきことだ』

 ……正直胡散臭かった。でも、上等だった。

 どうせ私の人生なんて無限に続いているようなもの。なら、研究に費やすのも悪くはないかも。

「はぁ……わかったよ。魔法をここで極めればいいんでしょ?」

『つまるところそういうことだ』

「なら、最後に聞かせて。私に話しかけている、貴方は誰なの?」

『我、か……まだ名乗る時ではないだろう。君が我々の領域へと踏み込めたのなら、その時は——』

 そしてその声は段々と薄くなっていった。

 私は閉ざされた空を見上げる。確かに、この場所ならうってつけではあるな。

 それと言ってすることがなかった私は早速、研究をするための環境を整えることにした。

 ——その研究を援助してくれる力が、私に働いていることを信じて——

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