師匠、いなくならないよね?<Ⅴ>
3日後、ルーペンスの街中で一番広い空間に、人々が集まっていた。ここに住む人だけではなく、近くの街から珍しいもの見たさで来た人もいる。
人々の中心には、石造りの街並みに似つかわしくない重厚なものが置かれている。それは見ただけでこれから何をするかわかるような、そのためだけに使用されるような仰々しい見た目をしている。
それを眺めて待っている人々を尻目にしながら、わたしは最終確認を行った。人が近づき過ぎないようにそれの周りを十五人の騎士が立っている。現状はそれだけだが、これから師匠せんせいが連れてこられることを考えるとあと五人から十人ほど追加されるだろうか。
恐らく逃げられないようなことでもされているのだろう。魔法か……いや、
もしくは、
何にせよ、わたしは
そんなことを考えてると、先日の甲冑男がやってきた。その男を筆頭に、七人ほど人がやってきた。その内の四人は甲冑をきた騎士ではあったが、ほかの三人は違った。身なりは軽装備だが、ただならぬ雰囲気を感じる。恐らく魔法使いか。実力は……わたしよりも上だろう。
それでも関係ない。やることをやるだけだ、と考えていると、甲冑男が話し出した。
「只今より、火事を起こした犯罪者であり、【
三人がそれぞれ一礼する。それを見た後、甲冑男が話を続ける。
「それでは、罪人をこちらへ」
そう言うと、向かい側から騎士が一人の男を連れて来る。
弟子であるわたしも外している姿はそこまで見たことがない。顔は整っており、透き通るような銀色の髪、わたしよりも薄い黄色の両目は覚悟が決まっているかのように前を向いていた。
台の上に
(止まりなさい)
と頭の中に声が響いた。
(
(あそこにいる三人はリリアよりも強い……それはわかっているのだろう。君がきても逆に捕まるだけだ)
(でも……それでも、わたしは
(ダメだ)
とキッパリと言われた。
(それにもし脱出できたところで、私たちが追われる身になるだけだ。私はリリアをそう言う目に合わせたくない)
(わたしはそれでも……)
(……ごめんよ、リリア。もう君に教えることが出来なくなってしまうな……君は素質がある。このまま復習を繰り返していけば君はどんどん強くなる。君は飲み込みが早いから、新しい地に行って色々学べば、わたしに教わらなくとも大丈夫だろう)
(嫌です!もっと
涙が頬を伝う。甲冑男が何か話をしているが話は耳に入ってこない。
(はは、そう言ってくれて嬉しいな……私が死んだら、この街を離れて、二つか三つ先の街に逃げなさい。私に弟子がいることがバレている可能性があれば、リリアを探しているかもしれないからな。次に行く予定だったガラシア村は、用意していたものもなくなってしまったし、行くのは厳しいだろう)
(そんな……死ぬとか言わないでください……!今からでも)
(リリア)
俯いていた顔を上げて、
(これまでの旅、リリアと一緒に旅ができて私も楽しかったよ。君は私のことを忘れて、君の生きたいように旅を続けなさい)
(リリア……ありがとう)
物陰から体を出し、無意識に歩いていた。甲冑男が
「それでは罪人。最期に何か言いたいことがあるか?」
そう言われると、
「私の声を聞いている皆さん。自分の信念を曲げずに、自分の出した「答え」に沿って行動したのであれば、成功も、失敗も、胸を張れるものです。自分だけの正しい「答え」を見つけなさい」
それは、わたしに向けた最期の言葉にも聞こえた。
「ナンダソレ。やれ」
甲冑男が吐き捨てるように言い、合図を出す。刃が
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