魔女は「答え」を希う
でしりっとる
Ⅰ章
わたしがまほうをまなんでいいんですか?<Ⅰ>
魔法が発展した世界【シエルアル】。普通の人類──【
そんな亜人類の一種、【
彼は人類と敵対している関係ながらも、様々な地に赴き人類に対して魔法の指南などを行なっていた。彼のことを【
そんなある日のこと、彼が呼ばれて訪れたハツシ村の大きな建物の隅で、子供達が騒がしく庭を走り回ってる中、一人地面とにらめっこしている少女の姿が目に留まった。
見た目は5、6歳にいくかいかないかと言ったところだろう。セミロングの黒髪に、銀色のメッシュが後ろ髪の方に入っている。遠目であり、少女も下を向いていたのでわかりづらかったが、右目が茶色、左目が黄色のオッドアイに見えた。
なるほど、そういうことかと理解した。村長と今回の訪問について話し終わった後に、先ほど見た少女について聞いてみた。
「そういえば、ここに来る前にオッドアイの少女を見かけましたが、あの子は一体……」
「ああ、あの子の事か。あの子はちょっと事情がありまして……」
と、村長は少女について話し始めた。
少女の名前は【リリア・F・ルーベルト】。リリアの親は両親とも既に他界しており、父親の方がこの村の出身だったとのこと。あの建物はどうやら養護施設のようだ。
父親は一度この村を出てから母親と出会い、結婚し子供が生まれたのちにこの村に戻ってきたらしい。そして、母親の血筋の方に、【
見た目の特異さ、そして【
「子供に罪が無いのはわかってるんだけど、どうしてもそういう考えが根付いてるからね……」
なるほど、今回私を呼んだのはそのことについても相談したかったのだろう。というより、どうにかできないものかということか。端的に言えば、あの子を引き取って欲しいとのことだろうか。
「言いたいことはわかりますが、私は彼女の意思を尊重したい。魔法の指導の前に、彼女と話をする時間をもらえますか?」
と伝えると、村長は頷いた。
村長は養護施設の管理者らしき人に話をし、その人から少女に話をしている。そして少女はこくりと頷くと、一人でこちらに歩いてきた。
「わたしになにか……?」
と何にも期待していないような目でこちらを見ている。
「私はエンリという者だ。普段は色々な街や村に行って魔法について教えてる先生だよ」
「まほうの……せんせい?」
「そうだよ。君は、魔法に興味はないかい?」
「べつに……それよりも、わたしはここからでていくことになってもだいじょうぶだから……」
「聞こえていたのかい?」
「ううん……でも、みんながわたしのことをいやがってるのはわかるよ……」
……どうやら、この子は周りの空気を察しやすい子なのかもしれない。そんな息苦しい生活を送ってきたのかと思うと、憤りを感じる。しかし、村人たちが悪いわけではない。【
そして、そんな世界の和平のためにわたしが行動しているのに……と考えると、私の力が及んでいないことを嘆くばかりである。
「……リリアちゃん。もし君が良かったら、私と一緒に旅をしてみないかい?」
「……?わたしはだいじょうぶだよ……だか──」
「それは君のじゃなくて、周りの意見だよね……?もちろん、ここにいても気まずかったりするかも知れないけど、君の気持ちが聞きたいな」
少女相手に前のめりになってしまったが、伝えずにはいられなかった。リリアはびくっと体を強張らせた。目を上下に動かして戸惑っているようだ。
「ごめんよ、怖がらせちゃったね。お詫びと言ってはなんだけど、今からやる指南……授業の後に、良いものを見せてあげるよ。返事はまた明日聞いても良いかな……?」
リリアはまだ驚いているようだったが、こくりと頷いた。
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