8月13日 くもり

お姉ちゃんは、あいかわらずおし入れの中です。

そしてずっと、きれいなままです。

ぼくは、やっぱりぼくです。

ぼくじゃないだれかだと、どうしても思えませんでした。

お姉ちゃんにそう言うと、「それは、思い出があるからだね」、と言いました。

同じ思い出を持っていれば、同じ人だと思えるんだと、そう教えてくれました。

思い出は、命です。

ぼくたちが死んじゃうのは、「同じ人」になれなくなったからです。

それは、なにも思い出せなくなって、思い出そうとすることもできなくなるってことです。

お姉ちゃんがそう言ってました。

よくアニメでキャラが「記おくそうしつ」になります。

「記おくそうしつ」っていうのは、「思い出」を思い出せなくなることです。

あれは、あの時だけ死んじゃっているってことでしょうか?

ぼくは、わすれ物が多いです。

きっとぼくは、かんたんに死んじゃうんだと思います。

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