おし入れのお姉ちゃんに、くわしく聞いてみました。

お姉ちゃんは、「いっしゅんだけのユーレイ」なんだそうです。

人間は、「サイボウ」っていうものがいっぱい集まってできていて、そのサイボウはかんたんに死んじゃうらしいです。

「じゃあなんでぼくたちはすぐに死なないの」って聞いたら、「死んじゃったサイボウとそっくりなものが生まれて、代わりに生きるから」って言ってました。

ぼくたち人間は、なん度も同じ形になりつづけて、自分はかわってないって言いはっているそうです。

じゃあ、ぼくたちはずっと同じ人のつもりでも、次の日には、体中がべつの人になっちゃってるってことになります。

とてもこわいです。

おし入れのお姉ちゃんを、ぼくはあの川でたしかに見ました。

だけど、それはすぐに死んじゃってて、今はべつのお姉ちゃんです。

だから、姉ちゃんは生きているのに、お姉ちゃんはユーレイなんです。

あの日の、あの時の、あっと言う間の、ユーレイなんです。

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