第9話 爆買い
「これって、耐久性高いですか?」
ランクアップした次の日、買い物に来ていた。
何の買い物かというと、遠征をする為の準備だ。
雑貨屋になんでもあると聞いて、テントやら色々の買いに来ていたのだ。
「これはねぇ、普通だよ。キャンプに使うやつだからね」
「俺解放者何ですけど、ダンジョン内でも使えるやつってありますか?」
「なんだ! 解放者だったの!? 早く言ってよ! こっちだよ!」
展示されてるのとは別の部屋に連れていかれる。
「解放者用はこっちで、色々置いてるよ?」
いろいろ置いてると言うだけあって品揃えが良さそうだ。
その中でも目を引いたのはボーリングぐらいの大きさの窪みがある品が多数あるのだ。
「これってどうやって使うんですか?」
「あぁ、これね! これは、この窪みにダンジョンコアを置くと結界魔法がテント周辺に張られるんだ」
「おぉー! 便利っすねぇ!」
「でもさ、君の連れてる魔物強そうだから必要なさそうだよね」
チラッと蘇芳を見ると誇らしげにしていた。
「それもそうなんですよね。でも、使えるなら使いたいんで、これ貰っていいですか? 2人用のやつ」
「お目が高いねぇ! これカッコイイよね? あっ! 拡張魔法が付いてるからかな?」
「えっ!? 拡張魔法付いてるんですか?」
「うん! 中がひろーくなってるよぉ」
「へぇ! 楽しみ! あと、火が出る魔道具ってあります?」
「こっちにあるよ! あっ! 焚き火台も欲しくない?」
「あっ! 欲しいっすね。あとは……なんか料理するのに便利なのないっすか? 魔道具的なやつで」
少し考える店員さん。
「んー。料理ならあれかなぁ高いけど」
「なんかあるっすか?」
「こっちにおいで?」
奥に通される。
小さな部屋には箱型の物が何個か置かれていて値段が書かれている。
見てみるとキッチンセット120万だけど、と書いてある。
「えっ!? これが120万!?」
「あぁ。それね、異空間魔法が仕込まれていて、テーブル、椅子、キッチンが付いてるんだよ」
「それは凄いっすね」
「そうなんですよ。持ち運びのキッチンって感じなので、この値段になってました」
「なるほど……ください!」
「いいんですか?」
「はい。こういうのないと野営が味気ないじゃないっすかぁ」
「そう言っていただけると、私も嬉しいです! ありがとうございます!」
「いえいえ! あと、鍋とか食器あります?」
「ありますよぉ!」
別の部屋に行くと、食器が並んでいた。
「あっ、割れないやつがいいかなぁ」
「これ、プラスチックだよ」
「いいっすねぇ。一式貰っていいですか?」
「ありがとうございます!」
「あと、寝具あります? 寝袋みたいなやつ」
「こちらに!」
また別の部屋に案内される。
「こちらになるんですけど、拡張魔法のテントであれば、このベッドを中に入れればそのままテントの収納が可能ですよ?」
「そんなのあるんですか!?」
「はい! このベッドには縮小魔法が掛かってまして、拡張魔法の反対魔法となりますので相性がいいんです」
「なるほど、ください!」
「ありがとうございます!」
「後は大丈夫です! 会計お願いします!」
会計をするために入口のカウンターに移動する。
「では……合計で430万円になります!」
「はーい。ギルドカードで」
「はい。ではここにかざして下さい」
「はい」
ブーンッ
――――――
お会計完了
――――――
完了のメッセージが表示される。
「はい! お買い上げありがとうございました!」
「こちらこそ! また来ます!」
「はい! お待ちしております!」
雑貨屋を出ると、次は食材屋に向かう。
道中、蘇芳に聞いてみた。
「なぁ、蘇芳ってお腹空くの?」
『僕はお腹空かないよ?』
「えっ? そうなの? でも、3食は俺と一緒に食べてんじゃん?」
『うん。栄養にはなるから。強くなるために食べてるんだよ?』
「んー。まぁいっか。一緒に食べた方が楽しいもんな」
『ホントに食糧が無くなりそうな時は僕は食べないよ?』
「今度遠出しようとしてんじゃん?」
『うん。その時はたまにぐらいでいいよ』
「食いたいのか?」
『だって……人間のご飯美味しいんだもん』
ズーンッと地面にしゃがんで地面を指でイジイジしていじけている。
「そんなにイジけるなって! 大丈夫だから! 余裕あるから!」
『そう?』
「あぁ! そのかわり、蘇芳の異次元収納活用させてもらうからな!?」
『いいよぉ』
食材屋に付いた。
食材屋と言っても、お弁当やらお惣菜やらなんでもあるのだ。
「おっ! 唐揚げ弁当だ! 買う……生姜焼き……買う……のり弁……買う」
やべぇ!
全部美味そうでなんでも買っちゃうな。
『翔真? そんなに買って食べれるの?』
「ん? だって、蘇芳も食うんだろ?」
『そうだけど、弁当以外買わない気?』
「いや、買う」
『まぁ、収納出来るからいいけど……』
弁当をカウンターに持っていき預ける。
今度は肉売り場に行く。
おもむろにブロック肉をカゴに入れる。
ソーセージやジャーキーをカゴに入れる。
バーベキュー用にカルビ、ロース、ハラミ、タン、ホルモン……
「これも下さい!」
『翔真? 野菜は? 野菜食べないと大きくなれないよ?』
「蘇芳は俺のかぁちゃんか! 今から野菜買うよ! とりあえず、これあ空間に入れて!」
隣の八百屋さんへ向かう。
「えーっと、モヤシと……キャベツ…………レタスに……キュウリ」
『ねぇ、緑ばっかり?』
「えっ? いいじゃん。そのまま食べれるし美味しいから」
『まぁいいけどさ』
ホンットにかぁちゃんみたいな事言うな。
もう2年前になるかぁ。
2人が死んでからバイド三昧であんまり供養してあげられてなかったなぁ。
遠出する前に拝みに行ってくるかなぁ。
感慨に耽ってボーッとしていると。
『翔真!?』
「っ!? おう。ごめん。どうした?」
『急に固まったからビックリしちゃったよ』
「悪かった。ちょっと昔のこと思い出しちまってさ」
『そっか。話……聞こうか?』
「まぁ、そのうちな。ありがと蘇芳」
『うん。話したくなったらでいいよ』
「おう。おっちゃんこれ頂戴!」
「あいよぉ! んーーー。721円だね」
「さすが! 安い!」
「そうかい!? 嬉しいねぇ!」
バシバシッと肩を叩いてくる。
肩がジンジンする。
ステータス高い筈なのになんでいてぇんだろうなぁ。
不思議。
野菜は袋に入れて縛り、異空間に保存する。
「これでよしっと」
『準備できたね! お疲れ様だね翔真』
「おう。なぁ蘇芳、ちょっと明日出発する前に寄りたい所があるんだけど、いいか?」
『うん。いいけど、何処に行きたいの?』
「親の墓に行きたいんだ」
『いいよ! 僕も挨拶したいしさ!』
「そうか? ならよかった! 一緒に行こうぜ!」
宿の方に歩いていく。
「宿は、今日で一旦退去だな。明日から野営生活だ」
『それも楽しみだけどね』
「だな。よし! 飯食って寝よぉ!」
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