デート前日〜一之瀬麗の一日〜③

いつもなら放課後になったら二人と途中で別れるんだけど、今日は特別で。


明日のデートの為にやりたいことがあって、二人に協力してもらうことになっていた。


まずはお姉さんに学校が終わったことと今から友達と遊ぶことをメッセージで送り、最近気に入っている猫がキスしているスタンプを送る。


するとすぐに返信が来て、楽しんできてね!お仕事終わったらまた連絡するね!というメッセージと猫がバツ印を作っているスタンプが送られてきて、わたしはうん!またあとでね!と送り、追加で猫キススタンプを3個送っておいた。


それから、お姉さんとのやりとりが終わると三人で街へ繰り出す。


最初は洋服屋さんへ。


お姉さんにかわいいって言ってもらえるような服を探していたわたし。


三人で選んで、何着か試着をすると一点に決めて購入することに。


二人も「麗ちゃんかわいい〜!」「うん。麗さんにはやっぱりこれだね。」と絶賛してくれて。


わたしもすごく気に入った服で、さらに明日のデートが楽しみに。


次はお姉さんにお礼をしたくて、なにか贈り物ができないかと思って探すことに。


初めはお姉さんのお仕事で使ってもらえるような物にしようかと思ったんだけど、アクセサリーもいいなぁと思ったわたし。


まず最初に目に入ったのは指輪で。


お姉さんが薬指に付けてくれている所を想像していると「麗ちゃんこれはまだ早いよ〜。」「うん。これはさすがにまだね。」と若干引いてる二人。


「えー。そっかぁ…。」とがっかりするわたしだったけど、いつかお姉さんと結婚した時に!と考えると元気を取り戻す。


次はネックレスとかイヤリングにしようかと思ったんだけど。


あまり高すぎる物を贈ったらお姉さん困っちゃいそうだし…。


そう思ったわたしは悩んだ末にあまり高くなくて、お姉さんに似合うと思った物を見つける。


二人もこれならきっと喜んでもらえるねと言ってくれたので購入することに決めた。


これで、二人にお願いしていたことは終わりなんだけど。


実はわたしはもう一つやりたいことがあって。


「あのね。凛ちゃん柚子ちゃん。まだ時間って大丈夫?」と二人に尋ねる。


「うん〜?大丈夫だけど〜?」「私も大丈夫だよ。」と二人の返事を聞き。


「あのね。今から遊びたいなって。お姉さんのお仕事が終わるまでになっちゃうんだけど。いいかな…?」と尋ねる。


すると「もちろん〜!遊ぼ〜!」「そうだね。私も麗さんと遊びたい。」と言ってくれる二人に嬉しくて「二人共ありがとー!」と抱きつくわたし。


それから、三人でまたいろんなとこを見て回ったり、クレープを食べたりして、最後にお姉さんから連絡が来るまでカフェでお話しをすることにした。


「柚子ちゃん!凛ちゃん!今日はほんとありがとね!」と改めてお礼を伝えると「あたし達も楽しかったから〜!ね〜!」「うん。麗さんと久々に遊べて楽しかった。」と二人共笑顔で言ってくれる。


そんな二人にすごく嬉しくなるのだけど、それが申し訳なくて。


「最近わたしのわがままで一緒に遊べなくてごめんね。」と伝えると「気にしなくていいよ〜!学校で話すだけでも楽しいし〜!」「それに麗さんがお姉様の為にしたいって気持ち。私達にもちゃんと伝わってるからね。」と言ってくれて。


二人の気持ちがすごく嬉しくて泣きそうになるわたし。


そんなわたしに気づいた柚子ちゃんが「あ〜!凛ちゃんが麗ちゃん泣かしてる〜!」と言うと「柚子が麗さん泣かしたんだよ。」と言い合う二人。


それがおかしくて笑うと、二人も笑ってくれて。


やっぱり二人が友達でいてくれてよかったなと改めて思っていると、凛ちゃんが「そうだ。麗さん。前に柚子と話してたんだけどね。」と言って「あ〜!あれだね〜!」と柚子ちゃんが反応する。


わたしはなんだろうと思い尋ねると「今度ね〜!麗ちゃんとお姉様が住んでるマンションに遊びに行っていいかな〜!」「麗さん達が良ければなんだけど。」と聞かれたので「あとでお姉さんに聞いてみるね!」と答える。


すると「お姉様に麗ちゃんのかわいいところいっぱいお話するんだ〜!」と喜んでいる柚子ちゃん。


それはすごく歓迎なんだけどなんだか嫌な予感がして「それって例えばどんな?」と尋ねると「え〜とね〜。お姉様のお話してる時の麗ちゃんがかわいいとか〜。」とそこまではまだ良くて。


「あとは授業中お姉様のこと考えて先生に注意されてたこととか〜。」とちょっと止めないといけなくなってきて。


「あ〜!あとね〜!お姉様の寝顔の隠し撮りを眺めてニヤニヤしてるところとか〜!」と二人に話していないことまでなぜか知っていて。


「ま、待って!なんで知ってるの!?」と聞くと「凛ちゃんがね〜!前に見たんだって〜!」と柚子ちゃんが言い、わたしは凛ちゃんの方を見ると顔を逸らしていて。


「凛ちゃん?どういうことかな?」と声のトーンを落として尋ねると「え、えっと。黙ってようと思ったんだけど、あまりにも麗さんの幸せそうな顔がかわいかったからつい柚子に…。」と白状する。


自業自得なんだけど、逆恨みしたわたしは「ねぇ。柚子ちゃん。凛ちゃんのかわいいとこはー?」と聞く。


「れ、麗さん!?なに聞いて…」と凛ちゃんが慌ててるのをよそに「えっと〜。凛ちゃんのかわいいとこはね〜!」と凛ちゃんのかわいいとこを言い始める柚子ちゃん。


それを聞くたびに顔が赤くなっていき、隠す為に身体ごと背ける凛ちゃん。


少しやり過ぎちゃったかなと思っているとスマホの通知が入る。


お姉さんからかなと確認してみると、送り主は凛ちゃんで、麗さんひどいよぉ…。とメッセージが送られてきて。


わたしはすぐにメッセージで謝る。


すると、でも…麗さんのおかげで柚子にかわいいって言ってもらえたからいいよ…。とメッセージが返ってきて。


凛ちゃんのそういうとこもかわいいんだけどなぁと思いながら、それ柚子ちゃんに伝えようよ!と送ると、むりだからぁ…。と返ってくる。


そんなやりとりをしていると凛ちゃんのかわいいところをずっと言っていた柚子ちゃんが「ね〜!二人共ちゃんと聞いてよ〜!」と怒ったので中断して、今度は柚子ちゃんのかわいいところを言う番になる。


わたしが言う度に凛ちゃんが頷き、やがて満足した柚子ちゃん。


それから話が変わって、しばらくするとお姉さんからお仕事が終わったとの連絡が来て、最後に「麗ちゃん明日のデートいっぱい楽しんでね〜!」「たくさん楽しかったお話聞かせてね。」と言ってもらえ「うん!いっぱい楽しんで!二人にいっぱい話すね!また学校で!」と笑顔で別れるとお姉さんとの待ち合わせ場所へと向かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る